夏のローカルシリーズらしい結果をもたらしたのは、直前の函館スプリントS。3連覇を狙ったシーイズトウショウを大外から一気に差し切って完勝したのは、これで函館[4-0-1-0]となった5歳牝馬ビーナスライン(ホクトヘリオスの一族)だった。他のコースでは1600万条件でも善戦止まりだったのに、楽々とシーイズトウショウを差し切ってしまうのだから、他馬をコース適性で大きく上回ったとしか言いようがない。たまたまもあるが、1〜4着馬はすべて函館の芝コースで2勝以上を記録している馬ばかりだった。
ラジオNIKKEI賞(たんぱ賞)が毎年のように波乱の結果をもたらしてきたのは、3歳馬同士とあってコース適性が見えていないことも大きいが、今回は結果として馬場差約3秒の「重馬場」と、この時期の3歳限定重賞としては何十年ぶりかに取り入れられたハンデ戦というところにあった。
勝ったタマモサポートは気難しいタイプとして知られ、レース運びも毎回異なっていたが、ゲート入りを極端に嫌いやっと押し込められたほどなのに、スタートしてからはきわめてスムーズ。馬場の荒れたインからスルスル進出し、3コーナーすぎから一気にスパート。スプリングS・4着の能力を示したというより、抜群のコース適性を秘めていたのだろう。2馬身の着差以上の完勝だった。秋には菊花賞挑戦の予定というが、やがて古馬になってからは福島の七夕賞や、あるいはコース形態の似ている小倉の重賞レースの常連に育ったりするのかもしれない。
2着に突っ込んだソングオブウインドは、芝に移って2、1着の急上昇馬。追っての味を発揮したが、ずっと外へもたれ気味で、進出はそうスムーズではなかった。こちらは能力で2着に押し上げたが、カーブのきつい小回りコースは必ずしも巧者ではないだろう。
タマモサポートと同じような進出で、うまくインからスパートしたステラマドレードは、軽ハンデ51kgもあったが、渋った馬場は平気。なおかつ小回りコース向きの器用さがあった。人気の1頭アサクサゼットキは、1コーナーでの大きな不利があり、まったく流れに乗れなかった。トウショウシロッコの大外枠は重馬場の中、決して不利ではなく、もうすこし早めにいい位置に取り付きたかったが、前半モタついたのが痛い。人気馬の中ではもっとも速い上がりを記録し、直線まだ脚はあったように見えたあたり、力を出し切っての4着ではないだろう。トップオブツヨシは流れにうまく乗ったが、こちらは重馬場は不向き。ペースが上がったところでのめっていた。