ローカルのGII重賞ながら、ここで明快な答えを出したい馬が多い注目の好カードになった。先行すると思えたシルクフェイマスの出足が悪く、予想外のスローになり前半の1000m通過は61.2秒。後半が59.1秒。さらには、上がりの3ハロンだけが極端に速い11.6-11.4-11.3秒のラップが刻まれる特殊な決着になったあたり、持ち味の生かし切れなかった馬もいたが、この結果は秋に直結するだろう。
まず、快勝したアドマイヤムーン。同馬にとってこのスローの流れは望むところで、共同通信杯や弥生賞と同じ高速の切れ味勝負。外に出して楽々とハロン10秒そこそこの爆発力を生かすことができた。同馬の上がりは33.5秒。54kgの有利な斤量をフルに生かせる最高の形だった。札幌にいて470kg、デビュー以降最少の馬体重だったように仕上がりすぎとも言えなくはないが、秋の天皇賞へ視界は開けた。
まだ底力の勝負に死角はあるが、昨年の秋の天皇賞のような上がり勝負なら断然有利になるのが、この3歳馬だろう。
レクレドールは昨年のヘヴンリーロマンスと同じ連闘のローテーションで答えが出た。巧みな早めのスパートが生きた形で、ヘヴンリーのように急速に力をつけているわけではないが、そこはステイゴールドの全妹、さすがに渋い。
4歳の秋を迎え、一変の成長が期待されたマチカネキララは絶好の仕上がりを示し、また、うまくレースの流れにも乗って好位のイン、これで負けてしまっては「秋のローテーションは白紙」になったというしかない。切れ味の適性とかではなく、懸命に走っているのだが勝負強さにここまで欠けては、まだまだだろう。
サマー2000シリーズのチャンピオンを確定させたかったエリモハリアーは、5着の3ポイントにとどまり連闘で新潟記念に回る可能性が出てきた。