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新潟2歳S、小倉2歳S

  • 2006年09月04日(月) 12時51分
 東の新潟2歳Sでも西の小倉2歳Sでも新種牡馬の産駒がいきなり重賞を制してみせた。その中身が特に光ったのは、小倉のアストンマーチャン。アドマイヤコジーン産駒の牝馬で、圧倒的なスピード能力を爆発させた。いつもの年より時計の速い高速の芝だったから1分08秒4の時計そのものは驚くほどではないが、前半の3Fはなんと32.5秒だった。それもストラテジーを行かせる形で楽々となだめて追走し、4F通過43.9秒-5F通過は55.5秒。前半を32.5秒で飛ばして1200mを乗り切るのは、古馬でも大変なこと。この2歳の牝馬はわずか3戦目で楽々と猛ラップをこなしてみせたから、立派。小回りの平坦コースに近い馬場で、なおかつ最終日のわりには異常に時計の速い芝だったことを考えても、これは大変な記録だろう。

 父のアドマイヤコジーン(その父コジーン)は決して早熟のスプリンターにとどまる系統ではなく、自身も豊な成長力を示した馬。アストンマーチャンにも、さらに大きく広がる未来がありそうだ。2着に伸びてきたのはニシノフラワーの妹の仔だった。

 新潟の2歳Sは、タニノギムレット産駒のゴールドアグリ。こちらは新馬戦をさらに上回る上がり33.0秒の切れ味をみせて差し切った。成長の途上と思える体つきだけに楽しみはますます広がったが、こちらの2歳Sでの特注馬は、2着の牝馬マイネルーチェだろう。新馬戦で両脇から並ばれ、そこからグイッと抜けた勝負強さは光っていたが、今回もあと一歩で差し返そうかの勝負根性をみせた。

 ゴールドアグリの2連勝は見事だが、むしろそれ以上に鼻差惜敗の牝馬マイネルーチェの勝負強さを強調したい。新馬戦が7番人気、そして今回が11番人気。こういうなぜか人気にならない馬は、このあとも断然人気になどなったりしないから、このあと勝ちあぐねることがあっても評価は下げないでおきたい。

 1番人気のマイネルレーニアは楽に先行できて、まだまだ手ごたえがあったのだろう、大外へ回ったが、1頭だけになってしまったのが誤算。1、2着馬と最後は位置取りが離れてしまっていた。ニシノコンドコソは1600mの距離が合わなかったこともあるが、この兄弟らしくちょっとムラな面があるのは、仕方がないだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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