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ローズS、セントライト記念

  • 2006年09月18日(月) 12時45分
 12番人気の1勝馬トーセンシャナオー(イネス騎手)がスルスルと抜け出したのは、中山のセントライト記念。はたしてここで優先出走権を得た上位3頭が、本番の菊花賞で有力馬なれるかどうかは非常に難しいが、ローズSの上位3頭はストレートに本番の秋華賞でも上位を争うことになりそうだ。

 オーバーホールと夏の充電に成功したシェルズレイが、前半の1000m58.3秒のかなり速い厳しいペースから抜け出して3コーナー先頭。4コーナーを回った地点では2番手グループに5馬身近くもの差をつけた。ゴール寸前、アドマイヤキッスに差されたが、見た目の印象とは別に、シェルズレイの最後の1Fは12.2秒。ばてたわけではない。

 自分でレースを作った形で本番と同じ2000mを1分58秒3。もともとのスピード能力に粘り腰が加わってきた。春は少し寸詰まりにも見えた馬体が、胴が長くなったように映るあたり、確実に馬体面でも成長しているのだろう。

 ぴったりインを回ったアドマイヤキッスは、2000mをこなしたところに価値がある。オークスでは明らかに距離の壁を思わせていたことから、マイラー色が濃く、2000mは守備範囲ギリギリとも思えたが、シェルズレイを計ったように差し切った。スムーズに中団で折り合って上がり34.8秒。カワカミプリンセス(直接、秋華賞)との差は、確実に詰まったかもしれない。

 アドマイヤキッスとシェルズレイの1〜2着馬は、その世代の牝馬の最大のポイントレースの1つとされる「チューリップ賞」の1〜2着馬。今年の3歳牝馬陣はオークスの勝時計が示すように、トップクラスのレベルはかなり高い。レベルの高いグループのいる年は、秋になってもあまり勢力図が変動しないことが多い。少し差がついたとはいえ、3着フサイチパンドラ、4着ニシノフジムスメ(オークスの2、5着馬)、1分59秒そこそこで乗り切った5着ソリッドプラチナム、7着パーフェクトジョイあたりまで、本番でも崩れることはなさそうだ。

 それと対照的なのが、セントライト記念。牡馬陣のメイショウサムソンの相手として期待されたフサイチジャンク、ミレニアムウイングなどは、あまりに情けなかった。輸送を嫌ってステップレースに徹したキストゥヘヴンにも見劣ってしまった。本番は厳しいだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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