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神戸新聞杯

  • 2006年09月25日(月) 12時50分
 叩いて叩いて抜け出したと思えたメイショウサムソンだったが、ゴール寸前、大外から一気に伸びたドリームパスポートが鮮やかに差し切っていた。前半の1000m59秒1-後半が59秒0。1分58秒1の高速レースでより距離適性の高いドリームパスポート向きだったことは確かで、皐月賞のゴール前と同じような両者の脚色だった。

 とはいえ、これでドリームパスポートは一連の重賞をすべて3着以内に突っ込み一度も崩れないから見事。骨折明けでぎりぎりに見えた馬体や距離から、3000mの本番での評価は分かれそうだが、体調の変動さえなければ3冠を目指すメイショウサムソンにとってもっとも怖い馬だろう。同じころオールカマーを制したバランスオブゲームと同じファミリーの出身で、サッカーボーイを代表とする一族。脚質は違っても、バランスオブゲームと同じようなイメージもなきにしもあらずだが…

 メイショウサムソンはステップのトライアルとすれば上々の内容で3冠に向けてリーチはかかった。ひと回り馬体も成長し、一段とたくましくなった。差されたのは2000mでの切れ味の差としていいが、それにしても石橋騎手は今回はあわてたものだ。負けられない、なんとしても勝ちたい気持ちは見ていてもわかるが、再三他の馬と接触、もしかすると降着かとも思えるほどで、4コーナーでも、フサイチリシャールに並ばれた直線中ほどでも、相手や他馬を見ていなかった。負けたことでかえって立場が少し楽になるかもしれない。ベテランらしく冷静に他馬との力関係をもう一度考え直したい。

 武豊騎手のアドマイヤメインは外枠もあったが最初からハナに立つ気がなかった。明らかに本番の3000mを考えてのことだろう。マークされるペースメーカーの立場を嫌うと同時に、差す形も試そうとした。折り合ってはいたが、4コーナーでサムソンにかわされて前に入られてしまったあたり、勝負どころで速い脚は使えないのだろう。本番では一転、自分でペースを作る可能性が高くなった気がする。そうなると、石橋騎手のメイショウサムソンはレースがしやすいのだが…

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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