もっとも大きな興味があった凱旋門賞の結果は、残念というか、ほとんど負けないぐらいに思っていたのでがっかりだった。上がりの速い直線だけの決着になり、ハリケーンランやシロッコが伸びない形はディープインパクトに理想で、ほんとにその形になったのだが…。あの形でほとんど抵抗できず、3着に沈んだのはショック。大きな斤量の差で3歳レイルリンクに並ばれたのはともかく、最後方にいた58kgの牝馬プライドにまで差されるとは、少し愕然だった。後300mぐらいの地点、これなら勝ったと見えたのだが、レースの中身は異なるが、ハーツクライのキングジョージの3着と似た印象も残った。底力の差とは思いたくないが、アウェーの不利や、ローテーションの不利だけなのだろうか。まだレースが終わったばかりで、発表されていないが、武豊騎手のレース後のコメントや、ディープインパクトの感覚が知りたい。
スプリンターズS。遠征を重ねるアウェーの競馬好きテイクオーバーターゲットは強かった。地元のオーストラリアで勝ち、遠征したイギリスでも勝ち、そして日本でもGI快勝。信じ難くタフで、なおかつしたたかなチャンピオンだった。前走のセントウルSの内容から坂で止まる危険ありとみていたが、その坂で前年の勝ち馬サイレントウィットネス以下を突き放してしまった。競りながら前半32秒台で飛ばして突き放した内容は、勝ち時計以上に大きな価値がある。中山にいて前走を上回る好気配で出走してくるのだから、精神面でもきわめてタフ。このスプリント・シリーズ、3か国でGIを勝たなければボーナスの成立しないシリーズで、とてもそれは無理と思われたが、このチャンピオン、最後の香港でも勝ってしまうかもしれない。
競って失速のサイレントウィットネスは、さすがに太かった。だが、まだそうは衰えていない。次はテイクオーバーターゲット逆転もありそうだ。好スタートから巧く一旦下げたメイショウボーラーは、長いスランプが続いたがやっと本来のスピード能力が生かせた。ゲート入りをごねたり、あまり精神的にはタフな馬ではない。いろんな距離やダートと芝を交互に使われたりしているが、もうそろそろ狙いを定めたい。強気になるなら、この馬も香港G1だろう。3着に16番人気のタガノバスティーユが突っ込むなど、きわめて難しい、どんな結果もありそうなGIだった。イギリス勢は好馬体が光ったが、とくに短距離では、ヨーロッパタイプは時計の勝負は苦しいのだろう。