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福島記念

  • 2006年11月10日(金) 18時00分
 福島の最終週のハンデ重賞は、年によって大きく勝ち時計が異なる。芝が荒れてしまうとパワーのある馬中心だが、今年の芝は好状態を保っている。3週目だった先週、そうはハイレベルともいえない古馬500万の芝2000mで2分00秒2。古馬1000万条件では1分59秒9が記録されている。最後の直線は、外に持ち出した馬の方が伸びるようにはなっているものの、芝状態に神経を使う必要はない。

 6歳牝馬スプリングドリューを狙いたい。5歳の昨年までは、ダートで3勝しただけの下級条件馬だったが、6歳の今年、芝1800mで3勝もして、とうとうOPにまで出世してきた。とくに光ったのが前々走のニューマーケットC・1800m。前半1000m通過62.4秒の超スローで流れ、上位を占めたのは先行馬ばかり。好位から抜けたコスモマーベラスが圧勝かと思えた瞬間、ほとんど最後方から大外に回ったスプリングドリューが一気に差し切ってしまった。上がり3Fの数字は33.9秒にとどまるものの、レースをしたのはほとんど最後の2Fだけ。11.6-11.7秒のラップが刻まれた先行有利の流れを、まとめて差し切った強烈な切れに注目したい。

 今年の芝での3勝は、中京と、新潟と、中山。切れ味がフルに生きるコースばかり。福島は初めてだが、中山の勝ちっぷりからむしろ大歓迎だろう。牝系はグローブターフから広がる一族で、みんなタフ。かつ、ローカルコースを大の得意にしている。この馬の場合は、とくに母の父ノーザンテーストが利いている。

 父ミシル(ミスプロ系ミスワキ産駒)はジャパンCにも来日した馬で、G1・2勝は芝の2000m〜2400m。欧州からアメリカに移った7歳時にも、芝11Fのレースを2勝した記録がある。きわめてタフだった。スプリングドリューも6歳になった今年3勝しているぐらいだから、父母両系の1番いいところを受け継いだのだろう。52kgの軽ハンデ。外に出した馬が最後には伸びる。春、福島で重賞を制している吉田隼人騎手の思い切りのいいスパートに期待したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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