迫力満点のストライドでアストンマーチャンの外に持ち出したウオッカ(父タニノギムレット)が、来季のクラシックでの快走を予感させる素晴らしい伸びをみせて快勝した。
いかにもタニノギムレット産駒らしい力強さを前面に出すと同時に、豊かなスピード能力にもあふれている。祖母のエナジートウショウ(父トウショウボーイ)は、1991年の桜花賞を快勝し、ちょっと脚を余した印象もあるオークスを2着惜敗のシスタートウショウの1歳上の全姉にあたり、12月10日の香港スプリントに出走予定のシーイズトウショウの母ジェーントウショウ(父トウショウフリート)は、その2頭の半妹になる。
この活力とスピード能力あふれるファミリーに、タニノギムレット(2002年の日本ダービー馬)の一番いいところを受け継いだ形のウオッカは、充電して再登場する来年の春、もっとパワフルになっていることだろう。
勝ちタイムは1分33秒1。2歳馬の1600mレコード。新設の阪神の外回りの時計とあって、どの程度のレベルを示すのかはまだ判断が難しいが、前日の古馬1600万条件がスローとはいえ1分34秒1だったこと。また同日の1000万条件の1400mの接戦が1分21秒6だったことからして、破格のハイレベルを示す公算は大きい。
アストンマーチャンは前回と同様の好位追走からインをついて抜け出し、一度は完全に勝ったと思える態勢で、自身も上がり34.5秒でまとめて1分33秒1。それで差されたのだから、今回は勝ち馬が強すぎたとしか言いようがない。しかし、勝負付けが済んだわけではなく、大きなストライドを誇るウオッカに対し、こちらは独特の回転の速いピッチ走法。同じような能力をもつ対照的なライバルとして次回も好勝負必至だろう。
速い時計の続出した京都の1600mに1分33秒8の快勝記録を持っていたルミナスハーバーは、たまたまの偶然か今回も1分33秒7。これがスピード能力を示すバロメータとすると、今年の阪神JFの1分33秒1はその数字通り、きわめてレベルは高いということになる。関東のハロースピードは、また今回も出負けしてしまった。ちょっと細く映った432kgの馬体も気になったが、メンバー中2番目の34.3秒の上がりを記録して、イクスキューズと並んでの5着、6着。この2頭ともに再鍛練と、春に備えての充電がほかの馬よりさらに必要になった。