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アメリカJCC

  • 2007年01月22日(月) 12時50分
 順調に来ている馬が少なく、多くの馬がここをステップに春に向けて手ごたえをつかみたい一戦だった。頭数も少なく、また、速いペースでレースを引っ張る馬もいなさそうに思え、後半の切れ味勝負になるだろうと考えていたが、実際には厳しいレースに持ち込まれいきなり大きく明暗の分かれる結果となった。

 人気の中心インティライミは自分でレースを作れる自在の先行型。他馬が行かなければハナを切るのはこのメンバーだけに当然の出方で、スタンド前ではすんなり先手を奪うことが出来た。ところが、最初の1角を回ったあたりで急にムキになって、ペースダウンするどころか明らかに力んで走り始めている。前半の1000m通過60.2秒はそう極端に速いペースでもないが、向正面でもさらにムキになってペースダウンできずに11.7-11.8-12.1秒。1600m通過は1分35秒8の息の入らないハイペースになってしまった。

 完全に、情けない自滅。以前から多少なりともスパートのタイミングの難しい馬ではあったが、ディープインパクトのダービー2着馬は、今年、古馬の中〜長距離路線のエース格になるどころか、いきなり自分自身が戦いの相手になってしまった。気分良くハナを切りながら、ムキになり通しでペースダウンできないのは苦しい。鞍上とのリズムの違いもあるのだろうが、次走に選ぶ距離が難しくなった。

 勝ったマツリダゴッホは縦長になった展開の中団から、3角手前で早くも前のインティライミだけを目標にスパート開始。たまたま隣でレースを見守っていた国枝調教師が、4角手前でもう『勝った』と声を上げたほどの圧勝だった。距離にわずかながら心配があったが、自分からロングスパートをかける形で上がり35.3秒。休み休みだった3歳時より明らかにパワーアップしている。ナリタトップロード一族らしい成長力を見せてくれそうだ。

 マツリダゴッホに5馬身もの差をつけられた2番手以下では、インテレットは出負けのロスもあっただけに、無理に動かない利はあったにしても上がりは34.6秒で鋭く伸びてきたのは立派。休み明けで今後のメドをつけたい一戦とすれば上々の始動だったろう。

 ジャリスコライト、フサイチアウステルなど、成長の手ごたえをつかみたかったグループは、休み明けの不利を考慮してもかなり物足りない内容で、馬体にも期待ほどの成長のあとがなかった。

 京都の『平安S』は、超スローにも近い流れを、ほとんど最後方にいたメイショウトウコンが大外を回って上がり35.1秒。通ったコースを考えれば34秒台にも相当するかもしれない。ウッドの調教では動かないとはいえ、直前の追い切りが43.8―15.4秒でバタバタ。難しい馬だが、素晴らしい能力を秘めていた。フェブラリーSの1600mの方がもっと合うだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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