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根岸S

  • 2007年01月29日(月) 13時00分
 11番人気の伏兵ビッググラスが馬群を割って抜け出し、人気のシーキングザベスト以下に完勝してみせた。6歳ビッググラス(父エルコンドルパサー)は重賞初制覇。中尾秀調教師も初めての重賞勝ち、テン乗りになった村田一誠騎手も初めての重賞制覇だった。

 今年に入って初めての重賞勝ちとなる馬が続出しているのは知られるところだが、村田騎手がまだ重賞に手が届いていなかったとは気がつかなかった。ビッググラス陣営はさっそく「フェブラリーSも一誠で行くしかない。呼吸が合っていた」と次走の騎乗依頼も約束している。時おり大駆けの村田騎手ではなく、重賞でも再三快走の村田騎手になってもらおう。人も馬も、次から次へと新しい侮りがたいエースや主役が出てくるのは、競馬サークルにとってなによりも望ましいことだ。

 エルコンドルパサーは、アロンダイト、ヴァーミリアン、ソングオブウインドに続き、また重賞勝ち馬を送った。相手の牝馬の一番いいところを引き出し、芝もダートも平気、長距離型も中には短距離型もいる。最初のころの産駒はなんとなく非力感が感じられたが、成長力もパワーもあった。特殊な血統構成をもつエルコンドルパサーは、わずか3年間だけの供用で早世してしまったが、本当は大種牡馬になる馬だったのだろう。

 ビッググラスの母の父は、ジャパンCで大歓声に驚き、かかったレースが残念だったイブンベイ(父ミルリーフ)。エルコンドルパサーが本当に母方の良さを前面に出してくれるとしたら、ビッググラスはスタミナも十分、まだ成長する。

 シーキングザベストはもまれずに理想の好位の外。いつもよりやや反応が鈍かった点を別にすると、ほぼ能力は出し切っているかもしれない。京都、そして同じように時計の速い東京のダートに限るとまだ連対100%を続けている。フェブラリーSでは、今回よりもっと軽い少し湿った馬場で、1分35秒前後になるくらいの速いダートコンディションが望みだろう。馬体の線の細さは消えたとはいえ、まだ非力感は残っている。

 2月のフェブラリーSを展望する視点に立つと、この根岸Sが最大のポイントになるレースかと考えていたが、どうもそうではないかもしれない。31日のGI、川崎記念の結果を待ちたい。フェブラリーSの候補は、今年になっての流れどおり、いっぱいあふれそうな予感がする。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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