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共同通信杯

  • 2007年02月05日(月) 13時00分
 3連勝できていたフサイチホウオーが、明けて3歳になり確実に一歩も二歩も成長しているところを示し、4連勝を飾った。同じ東京1800mの東スポ杯2歳Sを制した2歳の11月より一段とスケールアップした印象が強い。

 まず、パドックや馬場入りの際に変な気負いを見せなくなった。12月のラジオNIKKEI杯2歳Sのあたりからの大きな精神面の成長で、今回も落ち着き十分。スタートも巧みになった気がする。好スタートからすぐ先行馬の直後につけ、それからレースの流れに合わせて下げることができた。最大のカギは追い出したときに左回りだと内に行きたがるストライドの癖だったが、今回は先に抜け出したフライングアップルに外から馬体を寄せていく理想の形だったとはいえ、少しも斜行はしなかった。パトロールフィルムで確認したが長い東京の直線をほぼ一直線に走り通している。

 安藤勝騎手は並んで突き放すときに、もっとスパッと切れて欲しかったようだが、最後の2ハロンは11.2-11.8秒。フライングアップルも、外から差し切ろうかの勢いをみせたダイレクトキャッチも鋭く伸びているのだから、さすがにそう簡単には突き放せないだろう。ゴール寸前もうひと伸びする形で抜け出したのは、東スポ杯とまったく同じ。同じ安藤騎手だからだろうが、ダイワメジャーの毎日王冠や、天皇賞・秋のゴール前と似た感じがある。スパッと切れるタイプではないところが逆に勝負強さであり、まず大きく崩れることはないと思わせる底力と考えたい。スピードはある。ぶっつけになる予定という皐月賞では、ダイワメジャーのようなレース運びも可能だ。

 フライングアップルは、前回の対戦では外から一度は先に出て、今回は内から一度は完全に抜け出しているが、ゴールではわずかに及ばなかった。逆転可能な小さな差ではあるが、2度続いただけに一応は勝負ありかもしれない。ダイレクトキャッチはやはり東京でこその切れ味が光った。ずっと前にいたフサイチホウオーをぴたっとマークする位置で文句なしのレース運び。直線ではあえて馬体を併せに行かず少し離れた外に出し、一度は差し切ったかの勢いだった。ゴール寸前もう一度追い詰めているから立派。距離適性を判断するのは難しいが、こちらは皐月賞のステップレースをもう一戦はするだろう。ぜひ、中山でも答えを出してほしい。

 注目のニュービギニングは、4コーナーで外に出す余裕がなかったあたり、相手一気に強化の今回は、はっきり迫力負け。まだこれからどんどん変わってくるだろうが、兄とは資質とともに成長の過程もかなり異なる。公営のフリオーソは決して芝不向きのストライドではないが、今回が初芝の一戦とすればいきなり相手が悪すぎた。自分のリズムを探しているうちに流れから脱落の感じだった。先行できるような距離と相手で、芝に慣れることが必要になる。まだ先は長い。どんどん芝のレースにも挑戦して欲しい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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