スマートフォン版へ

フェブラリーS

  • 2007年02月19日(月) 12時50分
 少し水溜りの残る不良馬場でも粘りつくコンディションではなく、好時計の生まれる馬場状態の中で、レコードと0.1秒差の1分34秒8が記録された。レース全体の流れは前後半の半マイルが「46.6-48.2秒」。流れとすればややハイペースという形になるが、GIのマイル戦。1000m通過58.9秒だからそう極端に速いわけでもなく、結果は、紛れの生じる余地の少ないバランスのとれたレース内容だったろう。

 先行型では、アジュディミツオーは内枠を引いたのが不運。芝からのスタートだからいつも以上にダッシュがつきにくく、気合をつけて先手を取りに出たが早々とあきらめざるをえなかった。せめて外枠だったら…だろう。快走を期待した伏兵メイショウバトラーは逆に気分良く先行できてしまう外枠がかえって良くなかった。この相手に4コーナーで先頭に並ぶ形になってはきびしい。タメをきかせたかった。残念だがこれは仕方がない。

 人気のシーキングザダイヤ、ブルーコンコルド、サンライズバッカスの3頭は、3コーナー手前ではほぼ同じような位置だった。結果として、サンライズバッカス自身は「推定47.6-47.2秒」の前後半を刻んだことになるから、出負けのロスを最小限にとどめて理想のポジションを確保していたといえる。見事だったのはそこからで、人気の3頭の中では1番早くスパートを開始している。速い時計の決着になるのを読んでの、いつもよりずっと早い進出だった。

 ブルーコンコルドは「内にもたれて仕方がなかった」というが、それでももっと早くサンライズバッカスに離されることなく、無理をしてでも外に出して動きたかった。やっとエンジン全開のゴール前は、見方によってはまだ脚があった印象が強い。

 シーキングザダイヤはサンライズバッカスをマークするかのようにその内からスパートしかけたが、いつもより後方の位置でドロをかぶったためか、まったく伸びなかった。まず大崩れすることのなかった馬にしては予想外の凡走で、ビシッと追って馬体重も戻り、決して状態は悪くは映らなかったが、本来なら大歓迎の好時計の決着に対応できなかったあたり、どうしてもGIに手の届かない不思議な成績を残してきた馬の、一番むずかしいところが出たのかもしれない。

 勝ったサンライズバッカスの父ヘネシーは、シーキングザダイヤと同じくその父はストームキャット。この大種牡馬は、フェブラリーSではレコード勝ちしたメイショウボーラーの母の父に顔を出すように、ツボにはまれば圧倒的なスピード能力を爆発させる一方で、緩急のペースをこなせないなど、日本の競馬では一番難しい種牡馬でもある。シーキングザダイヤはたまたまそういう難しさが前面にでたもので、まだカゲリをみせたわけでもないと考えたい。フィールドルージュは東京なら1600mでも大丈夫と思えたが、ズブすぎて伸びたのはゴール前だけ。2000m前後で見直したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング