長い牝馬クラシックの歴史の中、桜花賞出走前にすでに1600mで2度も1分33秒台を記録している馬など、もちろんいるわけもなく、ウオッカにかかる期待は大きい。
2003年桜花賞にただ一頭、1分33秒8の好時計を持つワナ(父フジキセキ)が出走したが、それは高速の新潟での記録で、ワナは桜花賞では14番人気で15着だった。
新しくなった阪神では、芝1600mはここまで12R(12月以降)行われているが、ウオッカの1分33秒1は飛び抜けた1位。もちろんこれは馬場状態とペースによるところも大きかったが、続くエルフィンSで再び1分33秒7の大楽勝。その前週、5F通過58.2秒の古馬の京都牝馬Sが、ディアデラノビアの快勝(54kg)で1分33秒0だった。エルフィンSは5F59.3秒のスローで、3歳牝馬ながら56kgウオッカは楽々と1分33秒7。どうみても、もう古馬牝馬のトップクラスと互角か、むしろそれ以上だから驚く。
それも、エルフィンSは使わずもがなのレースで、必ずしも出走の体勢万全とはいえない7、8分の状態。破格のスケールだろう。
対するダイワスカーレットは、2000m→1800mと使って前走が1600mのシンザン記念。あまりのスローで少しかかり気味になったところを、男馬のアドマイヤオーラ(弥生賞に出走)に差されたが、スカーレットの上がりも33.7秒。バテたわけではない。ピタッとマークされた不利もあった。2000m→1800m→1600mは、ふつうの牝馬や、ふつうのクラシックを目指す馬のとるパターンではないが、もう底力が証明されているともいえる。ローテーションはウオッカより理想的な間隔。この2頭、まず崩れないだろう。渋い成長力をみせ、今回の動きも光っているローブデコルテが3番手。以下はよほどのことがない限り苦しい。
中山のメイン「オーシャンS」は、芝1200mに戻ってアイルラヴァゲインが巻き返す。圧勝の前々走より2.5kg減だ。