チューリップ賞ではなく、こちらのトライアルを選んできたアストンマーチャンは、ウオッカやダイワスカーレットとの対戦を避けたこともあるだろうが、1400mの方がずっとあっている。その理由の方が大きい。
11月のファンタジーSは1分20秒3のレコード。同じ日に古馬のキンシャサノキセキが1分19秒4の快時計で乗り切ったように、秋の京都は極端に時計が速く、1400mでも1.0秒近い馬場差を考慮する必要はあるが、仮に1.0秒加えても1分21秒3。2歳のあの時期にファンタジーSを1分21秒台の前半で乗り切れれば、すなわち桜花賞候補と考えていい。GIの阪神ジュベナイルFは、これも新設の高速馬場だったとはいえ、驚異の1分33秒1。ウオッカにはクビだけ差されたとはいえ、普通の年なら楽勝の内容で、3番手以下とは決定的な差があった。独特のピッチ走法でひょっとすると1600mはギリギリかと思えたが、その不安は一掃している。マイルを圧倒的な内容で乗り切っている馬が、1F短い1400mになったらもっと有利という意味でも、アストンマーチャンはまず崩れない。
注目の相手は一長一短だが、1400mの方が合いそうなニシノマナムスメは、本番はともかくここは有力。2戦目の紅梅S、出負けした形でまったくレースの流れに乗れなかったが、大外から突っ込んでの0.1秒差。出走権を確保するためには、このときと同じように差す形だろうが、こういうタイプに安藤勝騎手はとくに合う。ひょっとしての大駆けが期待できるのはヒカルアモーレ。ダート1800mから芝1400mは苦しいが、とても牝馬とは思えないスケールがある。クロフネだけでなく、母もグレイソヴリン系の芦毛を伝える芦毛馬。大物に育つ可能性を秘めている。今回は条件があまりに違うため凡走の危険も大だが、ココナッツパンチと同様の一躍台頭はある。
キャリアのあるハギノルチェーレが差す形で2〜3着に突っ込む次の候補。