5歳エイシンドーバー(父ヴィクトリーギャロップ)の通算成績は[6-6-1-5]。この春になって初めて重賞の阪急杯GIIIを同着でやっと勝ったぐらいだから、ここに入ると格下感は拭えない。ただ、デビュー当時は430kg台だった馬体が5歳の今は460kgを上回るようになり、ずっと栗東の坂路で半マイル53〜54秒台で一杯だった追い切り時計も、今回は楽々とデビュー以来最高の51.6秒。余力さえあった。明らかにパンチ力を増している。
この馬、上がり馬として挑戦した06年の京都金杯で、直線斜行し4位入線12着がケチの付きはじめ。4歳の前半戦は5戦[0-1-0-4]のスランプに陥っていた。
だが、ちょっと不運だったこのシーズンを別にすると、成績は[6-5-1-1]。出負けして7着にとどまったマイラーズC以外は、まず凡走したことはなく、少しずつ確実に総合力アップしている。
絶好の馬場状態だったとはいえ、前々走の阪急杯1400mは約3秒近くも自身の持ち時計を詰めて1分20秒5。プリサイスマシーンと、スズカフェニックス(そのあと高松宮記念快勝)にまとめて差されたようにみえたが、早めに動きながら同着1着に持ちこたえた。
父は米三冠2、2、1着。最後にリアルクワイエットを逆転した渋いタイプで、早熟ではなく成長力も十分。古馬になってダート9fを1分47秒28のレコード独走もある。ベストは実はマイル前後で、ダート7〜8.5fに限ると5戦全勝だった。
母方は、母のいとこにプライズド、マチカネアレグロ(ともに母と同じクリスエス産駒)がいる迫力の牝系。切れるというタイプではないが、阪急杯のようにきついペースに乗って粘り強く抜け出すタイプだろう。マイネルスケルツィ、フサイチリシャールあたりと同じ位置からしぶとく粘り込みたい。復調気配のオレハマッテルゼ、プリサイスマシーン本線。波乱が続くこの春シーズンだから手広くいきたい。