競輪
ヴィクトリアマイル
- 2007年05月14日(月) 12時59分
またまた大波乱の難しい結果が用意されていた。重賞レースに限らず、この春は波乱、大波乱の連続で、このあとのオークス、ダービーは「さすがに順当」ではないかといわれているものの、この流れは急には止まらないかもしれない。
ヴィクトリアマイルが3連単220万円の難しい結果に終わったのには、さまざまな理由が重なっているが、最大の要因は、勝ち時計が「1分32秒5」。レコードとほとんど差のない高速決着になったことだろう。知られるように、3歳戦は別にして、古馬の1600mのビッグレースでは、時計が速くなるほど各馬に明確な「差」はつかない。
同じ東京の1600mの「安田記念」、そして京都の「マイルCS」が示しているように、1分32秒台の前半の時計が記録されたりすると、不思議なほどの大接戦に持ち込まれてしまう。ふだんのレースではかなり能力差のあるはずの馬が、こと東京や京都の広いコースで、秘めている可能性をフルに引き出され、持てる全能力を発揮できる形になると、トップクラスのOP馬の大半は1600mなら1分32秒台前半で乗り切れてしまうのである。
ほかのコースや距離とは違って、レベルの高い馬が揃い、1600mのきびしい内容で全能力発揮の条件が準備されるとき、実は、多くのOP馬には思われているほど明確な能力差はないのではないか、ともいえる。東京では2000mの秋の天皇賞も同じ。時計が速い年ほど大接戦になる傾向がある。時計のかかるパワーの決着だと差が生じる。
勝ったコイウタは、3走前に初めて乗って13着にとどまったとき、松岡騎手は前半に「少しタメを利かせたほうがいい馬だと思う」と進言し、ダービー卿で追い込む形で2着に好走。いきなり半分答えを出していた。今回は多くの馬が嫌って馬群のばらけるインコースだったため前回ほどは控えなかったが、折り合って好位の内。直線に向いてしばらくのち、外に出そうとしたが横が壁になって無理、と判断した瞬間、内に切れ込むように突っ込んでいった。ファインプレーだった。鮮やかなビッグレース制覇。
アサヒライジングはこれでG�亀蕕離咼奪哀譟璽垢髻�5、4、3、2、2、4、2」着となった。勝ってはいないが、逆に凡走は絶対にしない。ちょっとかわいそうな成績を残し続けているが、今回の同馬(柴田善騎手)の作りだしたペースは前後半の半マイルずつに分けると自身は「46.6＝46.0秒」。東京の1600mとするとこれ以上はありえない見事なバランスラップで、2着惜敗は目標になった逃げ馬のつらさだけ。変にスローに落としたりせず、ビッグレースにふさわしいしかるべきペースで、結果、1分32秒5の好レースを作りだしている。
期待したジョリーダンスは、0.3秒差の5着止まり。寸前、まだ脚はあった印象でメンバー中NO1の上がり3F32.9秒。ちょっと残念だったが、まあこれは仕方がない。道中、すぐ前にスイープトウショウ、横のインにカワカミプリンセス。人気馬を見ながらの絶好の位置に映ったが、実はこれが落とし穴。あくまで結果論だが、マークすべきはこの2頭ではなかったのだった。安藤勝己騎手、横のカワカミプリンセスを終始封じ込める厳しい作戦に出たが、相手はカワカミプリンセスではなかったのである。
そのカワカミプリンセス。だれもが認める素晴らしい才能あふれる牝馬だが、半年ぶりで東京の1600mを高速時計で乗り切れというのは、さすがに無理な展望だったのだろう。敗れた陣営に対しては言葉を選ばなければいけないが、「それでもこの馬なら大丈夫」と思わせずにはいられない期待の大きさが、逆に陣営に、歴史的名馬に育つかもしれない牝馬にちょっと厳しすぎるローテーションを組ませてしまったともいえる。
そこまでは、ビッグレースは甘くはなかった。このあと、たとえば1600mを1分32秒台で乗り切るなどカワカミプリンセスにはいともたやすいことだが、今回いきなりというのは、それはカワカミプリンセスに対してかわいそうだった。
スイープトウショウは、とくに不利もなかった。馬場入りのダートでの落馬も池添騎手が手綱を離さなかったから、ロスは最小限にとどまった。マイラーズCで立ち直ったように見えたが、ここまで一番厳しいレースを2年も3年も続けてきたのがこの牝馬。衰えとかではなく、1番のピークの時期はもう過ぎている危険は否定できない。1〜2着したのはたまたまかもしれないが、これからの「4歳馬」だった。
ヴィクトリアマイルが3連単220万円の難しい結果に終わったのには、さまざまな理由が重なっているが、最大の要因は、勝ち時計が「1分32秒5」。レコードとほとんど差のない高速決着になったことだろう。知られるように、3歳戦は別にして、古馬の1600mのビッグレースでは、時計が速くなるほど各馬に明確な「差」はつかない。
同じ東京の1600mの「安田記念」、そして京都の「マイルCS」が示しているように、1分32秒台の前半の時計が記録されたりすると、不思議なほどの大接戦に持ち込まれてしまう。ふだんのレースではかなり能力差のあるはずの馬が、こと東京や京都の広いコースで、秘めている可能性をフルに引き出され、持てる全能力を発揮できる形になると、トップクラスのOP馬の大半は1600mなら1分32秒台前半で乗り切れてしまうのである。
ほかのコースや距離とは違って、レベルの高い馬が揃い、1600mのきびしい内容で全能力発揮の条件が準備されるとき、実は、多くのOP馬には思われているほど明確な能力差はないのではないか、ともいえる。東京では2000mの秋の天皇賞も同じ。時計が速い年ほど大接戦になる傾向がある。時計のかかるパワーの決着だと差が生じる。
勝ったコイウタは、3走前に初めて乗って13着にとどまったとき、松岡騎手は前半に「少しタメを利かせたほうがいい馬だと思う」と進言し、ダービー卿で追い込む形で2着に好走。いきなり半分答えを出していた。今回は多くの馬が嫌って馬群のばらけるインコースだったため前回ほどは控えなかったが、折り合って好位の内。直線に向いてしばらくのち、外に出そうとしたが横が壁になって無理、と判断した瞬間、内に切れ込むように突っ込んでいった。ファインプレーだった。鮮やかなビッグレース制覇。
アサヒライジングはこれでG�亀蕕離咼奪哀譟璽垢髻�5、4、3、2、2、4、2」着となった。勝ってはいないが、逆に凡走は絶対にしない。ちょっとかわいそうな成績を残し続けているが、今回の同馬(柴田善騎手)の作りだしたペースは前後半の半マイルずつに分けると自身は「46.6＝46.0秒」。東京の1600mとするとこれ以上はありえない見事なバランスラップで、2着惜敗は目標になった逃げ馬のつらさだけ。変にスローに落としたりせず、ビッグレースにふさわしいしかるべきペースで、結果、1分32秒5の好レースを作りだしている。
期待したジョリーダンスは、0.3秒差の5着止まり。寸前、まだ脚はあった印象でメンバー中NO1の上がり3F32.9秒。ちょっと残念だったが、まあこれは仕方がない。道中、すぐ前にスイープトウショウ、横のインにカワカミプリンセス。人気馬を見ながらの絶好の位置に映ったが、実はこれが落とし穴。あくまで結果論だが、マークすべきはこの2頭ではなかったのだった。安藤勝己騎手、横のカワカミプリンセスを終始封じ込める厳しい作戦に出たが、相手はカワカミプリンセスではなかったのである。
そのカワカミプリンセス。だれもが認める素晴らしい才能あふれる牝馬だが、半年ぶりで東京の1600mを高速時計で乗り切れというのは、さすがに無理な展望だったのだろう。敗れた陣営に対しては言葉を選ばなければいけないが、「それでもこの馬なら大丈夫」と思わせずにはいられない期待の大きさが、逆に陣営に、歴史的名馬に育つかもしれない牝馬にちょっと厳しすぎるローテーションを組ませてしまったともいえる。
そこまでは、ビッグレースは甘くはなかった。このあと、たとえば1600mを1分32秒台で乗り切るなどカワカミプリンセスにはいともたやすいことだが、今回いきなりというのは、それはカワカミプリンセスに対してかわいそうだった。
スイープトウショウは、とくに不利もなかった。馬場入りのダートでの落馬も池添騎手が手綱を離さなかったから、ロスは最小限にとどまった。マイラーズCで立ち直ったように見えたが、ここまで一番厳しいレースを2年も3年も続けてきたのがこの牝馬。衰えとかではなく、1番のピークの時期はもう過ぎている危険は否定できない。1〜2着したのはたまたまかもしれないが、これからの「4歳馬」だった。
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
