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函館記念

  • 2007年07月23日(月) 12時55分
 昨年より、もっとあっさりエリモハリアーが差し切って、函館記念3連覇を達成してみせた。どう好意的にみても昨年より体調一歩は明らかで、みんな函館巧者は分かってはいても、なお単勝25倍にとどまったが、陣営でさえ驚く一変の快走だった。

 落ち着きを欠く気性だったため、デビュー前からセン馬になっていた同馬は、5歳時には北村浩平騎手とのコンビで6番人気のこのレースを制して重賞勝ち馬となり、昨年は安藤勝己騎手が乗って重賞2勝目。そして今年は武幸四郎騎手が乗って7番人気での重賞3勝目だった。上がり38.8秒も要し、2分05秒1もかかる力の競馬を制した昨年がこの馬の真価と思えたが、今年はスローの流れを楽々と上がり35.2秒。まるで正体をつかませないから不思議だ。

 欧州に戻った父ジェネラスは、日本にいた当時の評価を一変させるように昨年から続けて重賞勝ち馬を送っていることが伝えられるが、ただ単に「洋芝」向きというだけでなく、代表産駒のエリモハリアーが北海道シリーズで6勝もしているあたり、日本の気候が合わなかったのかもしれない。

 エリモハリアーの快走だけが光ってしまった函館記念。レース全体とすると、なんとなく肩すかしの部分が多かった。コスモテナシャスはレース前に放馬して競走除外。メイショウオウテは故障して大差のしんがり。復活の期待されたマチカネキララは再びノドの不安に見舞われて、同じく大差で後方の入線。

 1番人気のアドマイヤフジはなんの不利もなく絶好の2番手にいたが、まったく伸びなかった。ハンデはむしろ有利とも思えたから、懸念の精神面の難しさ(賢すぎる気性ゆえに、逆に、ただ走っていればいいと思っていないフシがあるという説がある)は本当で、このあとも把握しにくい成績を残すかもしれない。

 サクラメガワンダーは、メンバー中NO.1の35.1秒の切れを見せて突っ込んだがスパートのタイミングがちょっと遅れ、脚を余した嫌いがなくもなかった。体つきは直前輸送なしとあって安田記念当時よりずっとたくましく、力強く映った。秋のビッグレースは関東圏が多いだけに、輸送競馬に対する死角をなくしたい。

 ステップの巴賞を快勝したシルクネクサスは、1800mの平均ペースだと上手く流れに乗れるが、折り合い面に死角があるため流れの落ち着くことの多い2000mのレースは本質的に合わないのだろう。期待した3歳ナムラマースは、巧みに先行馬有利の流れに乗っていたが、直線で逃げたマイソールサウンドの内を狙ったのが結果として失敗。手綱を引いて立ち上がったあとは、あきらめざるをえなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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