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関屋記念

  • 2007年08月06日(月) 12時50分
 快走して不思議ない馬が揃って、大きく人気の割れたフルゲート18頭。さまざまなタイプがいて、また多くの馬が持ち味を発揮したからレースの流れが壊れなかった。レース全体のバランスは前後半の800mずつが「45.6秒=46.2秒」。おそらく新潟1600mではもっとも時計の速くなりそうな高速の平均ペースで、逃げたストーミーカフェも自己最高の1分32秒7で5着に粘り込んでいる。勝ち時計はタイレコードの1分31秒8。考えられていたよりはるかに高速のハイレベルの決着になった。

 勝ったカンパニーは、ここ2年は秋の毎日王冠が始動のレースだったが、もう1年以上も勝ち星がないため今年は同じローテーションでは秋のビッグレースに出走できない危険が生じていた。あえて夏の重賞に出走のここは、ステップではなく答えを出す必要があったろう。万全の仕上がりに近いデキで、馬体には隙がなかった。また、初めてのコースだったが、長い直線はトニービン系の父の望むところ。一族にも新潟実績のある馬が揃っていたから、考えられていたよりはるかに新潟コースが合っていたともいえる。自信満々の中団追走から、直線は大事に大外に回る余裕があった。

 これでGII〜IIIは[3-3-0-5]。対してGIは[0-0-0-5]。なにやら父ミラクルアドマイヤの半兄フサイチコンコルドの送ったバランスオブゲーム型になりつつあるのは気になるが、予定通りこの秋の展望は大きく広がった。

 ハイレベルの決着になって同じように底力がモノをいったのが、好位から正攻法の競馬で抜け出しかけて2着のシンボリグラン。マイルCS・3着の地力は、こちらも休み明けだったが、さすがにここでは一枚上。そんな好内容だった。この秋も昨年と同じような渋いレースが期待できる。

 大外から突っ込んで3着のマイケルバローズは巧みなコース取りが生きた形だが、2走前には東京で1分32秒9の直線一気がある。ツボにはまれば…の高いマイル適性を示したといえる。富士Sのようなレースならチャンスありだろう。

 8歳カンファーベストは昨年の関屋記念快勝時とほぼ同じ1分32秒6での善戦。ローテーションを考えるときわめて立派な内容だった。ピサノパテックはもう少し伸びるかと思えたが、全体の時計が速すぎたのだろうか、完敗だった。2番人気のニシノナースコールは新潟に滞在しての挑戦。気配は良かったが、淀みのない流れで残念ながら総合力で見劣ったのだろう。たまたまかもしれないが、そっくり自分の持ち時計通りだった。上昇の期待された組では、アポロノサトリはここに入ると迫力、スケールで見劣る印象を与えた。凡走馬の中では、ゴールドアグリはこれから良くなりそうなムードを感じさせた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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