昨年第一回の勝ち時計とまったく同じ1分20秒6の決着。一転二転の展開は見た目には昨年以上にきびしく映ったが、昨年のレース全体の流れは「33.8−45.1秒=上がり35.5秒」。対して今年は「34.4−46.0秒=上がり34.6秒」。
改修直後だった昨年との芝状態の差はあるにせよ、レース全体の流れは逃げ馬不在とあってローレルゲレイロがハナを切ったぐらいだから、決して速くはなかった。1400mの短距離戦にしては必ずしも速くはない各馬一団に近い展開から、後半の爆発力の勝負になったのが今年の特徴と考えていいだろう。
人気のスズカフェニックスはマイルCSでダイワメジャーを追い詰めた切れる脚をもつが、どちらかといえば総合力で押し切るマイラーではなく、高松宮記念1200mを制した瞬発力が最大の長所。1600mではなだめて進み、スパートのタイミングに苦心するところがあるが、楽に追走できた流れの今回の1400mはまさにベストだった。
道中、他馬の位置どりを確認しつつ進む余裕さえ見せ、接戦の着差以上に内容は楽だった。この内容は1分20秒5(上がり33.9秒)で3着だった2月の阪急杯とほとんど同一にも近い内容で、また、2着のジョリーダンスにしても1分20秒7で勝った4月の阪神牝馬S(今回も1分20秒7)とほとんど同じようなレース内容。スズカフェニックスは5歳の暮れ。一方、牝馬のジョリーダンスは6歳の12月。ともに大きく変わったわけではなく、ここまでに示してきた能力どおりの内容が今回でもあった。崩れた有力馬がいた中で、この2頭は本来の能力を出し切ったともいえる。
上がり馬の4歳ブルーメンブラットがあと一歩まで追いすがる伸びを見せたのと、自分でレースを作る形をとった3歳ローレルゲレイロは、ともにまだこれからパワーアップしたい組だから、今回は及ばずでも内容は上々、納得だろう。
2番人気のエイシンドーバーは、一度は抜け出しかけて寸前に差されたのは一瞬の爆発力の差の印象があり、春の京王杯スプリングCを勝ったときに比べると体調あと一歩もあるのだろうが、もう少し上がりのかかる競馬向き。流れは味方しなかった。4歳ドラゴンウェルズにはスワンS以上のパワーアップと切れ味強化が期待されたが、ただ1頭、3角手前からかかってしまった。一段と迫力を増したようにみえた好馬体は、逆に少し重めだったかもしれない。この馬、毎回乗り代わりの連続。コンビの主戦騎手が欲しい気がする。
フサイチリシャールも状態は良く映ったが、これはエイシンドーバーと同じで上がり3Fが34秒前後まで速くなる切れ味優先の流れは合わない。
プリサイスマシーンはこのペースだから自然と先行する形になったのはむしろ当然。タメが利かなかった不利はあるだろうが、8歳の12月、さすがに小さな陰りも思わせ、並ばれて抵抗できなかった。除外馬続出で3〜4歳のイキのいいグループの出走が少なかったこともあるが、残念ながら、この路線でもっとも期待された新星の誕生はなかった。
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