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ガーネットS

  • 2008年01月14日(月) 13時00分
 昨秋から2連勝の勢いに乗る5歳タイセイアトム(父サクラバクシンオー)の鮮やかな逃げ圧勝だった。ダート重賞挑戦は初めてながら、自身のこれまでの持ち時計を大幅に更新する1分10秒4。良馬場で前半3F33.1秒の猛ダッシュ(これまで芝でも自身33秒台はなかった)を利かせ、2馬身の着差以上の完勝だったから、ここへきての上昇度には驚くしかない。54kgのハンデ、中山では有利な外枠、ほかの先行勢にダッシュがつかなかったことなど、恵まれた一面はあったにせよ、前傾ハイペースになること必至の中山ダート1200m(今年の前後半も33.1-37.3秒)。その典型ガーネットSを逃げて勝ったのはこの馬が初めてだった。

 飛ばしたタイセイアトムの最後の1Fは13.7秒。それなのに決定的な2馬身もの差をつけられたあたり、ほかの馬がちょっと情けなくみえた印象も残ったが、それだけタイセイアトムの現在の勢いが勝っていたということだろう。次は根岸Sの予定らしいが、東京のダート1400mでどんな内容をみせてくれるか楽しみになった。

 スリーアベニューは後方馬群の苦しい位置取りの中での追走。外に出た直線は勝った昨年と同様一気に伸びてきたが、追走の馬群があまりにタイセイアトムと離れてしまっていたから、なんとかの2着確保にとどまった。それでも良馬場の今年1分10秒7は、見方によれば走りやすい不良馬場の昨年の1分10秒0とほとんど互角の内容といえる。長期休養明け2戦目、必ずしも完調とはいえない気配でもあり、まだ上昇はある。

 先行勢の中では、昨年3着のニシノコンサフォスが案外だった。スタートでつまずく不利があったため行き脚が鈍かった面はあるが、なかなか昨年の好調時の動きを取り戻せないでいる。トウショウギアは、中山ではもまれない外枠からまくり気味に進出するに理想の枠順かと思えたが、タイセイアトムが前半33.1秒のラップを刻んだあたりでもうかかり気味に進出し、この馬も33.2秒。口を割っての追走で直線は止まってしまった。このあとは東京でぜひ巻き返したい。

 ベテランホースが多く、今回の内容から上昇、巻き返しに? のつく馬が目立った中にあって、初ダートで4着(1分11秒0)のマイネルアルビオンには少し新しい展望が開けたといえる。芝の短距離では完全にスピードの限界を見せていたが、初めての実戦のダートを考えれば今回の内容は悪くなかった。公営のベルモントサンダーは残念。スタートで挟まれたのか不本意な最後方からの追走で、競馬をしたのは直線だけ。6着でもまだ脚はあった。再度の挑戦を歓迎したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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