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京成杯

  • 2008年01月21日(月) 13時00分
 マイネルチャールズ(父ブライアンズタイム)の勝負強さと闘争心が光ったレースだった。レース前、騎乗する松岡騎手が「接戦の競り合いになったほうがいい」と展望していたが、その通りの厳しいレースになった。4角を回って外から進出してきたアイティトップと接触しかかり、前のステルスソニックの内に切れ込むようになったが、そこからマイネルチャールズの勝負強さがフル回転。力強く抜け出し、最後は「クビ、クビ…」の大接戦をきわどく後続を封じてみせた。あとでパトロールフィルムをみると、ぶつかりかけたアイティトップに噛み付こうとしているようにも見えるから、前回のホープフルSを差し返して勝ったあたりから、競って一段と勝負強くなったのだろう。

 道中は最後方にいたベンチャーナインが大外から強襲してあと一歩の2着。こちらは短期のオーバーホールに成功し、また今回は先行馬崩れの流れ(前後半の1000mが60.8=62.1秒)に恵まれたこともあるが、2戦目に遠征した9月の野路菊S(阪神)でそのあとデイリー杯2歳Sを制し、朝日杯・3着のキャプテントゥーレに先着した当時の評価を取り戻す好内容だった。

 今年の3歳牡馬の路線は、どのレースのレベルが高いのか? クラシックに直結しそうなのはどのレースなのか? きわめて判断の難しい年とされる。また、能力の基準になりそうな馬を設定するのも非常に難しいと考えられている。初めてフルゲート16頭立てになった京成杯が終わっても、やっぱり難しい勢力図はそのままなのだが、ふつうはレベルが高いことの多いラジオNIKKEI杯を小差5着、6着のマイネルファルケ、ダンツウィニングが、ここでもやっぱり入着止まりにとどまった。このことからすると、レースの終わった直後は2分02秒9のやや平凡な勝ち時計もあって、この京成杯はそんなにレベルは高くはないと感じたが、意外や大きなポイントレースなのかもしれない。

 3着アイティトップは2連勝のあと、ここは3着に終わったものの差は0.1秒だけ。キャリアを考えると1〜2着馬と評価は互角でいいだろう。牝馬リトルアマポーラは、初距離、初めて道中もまれる形になって、それも大事に乗っていたことを考えれば、実は、まともなら勝ち負けしていたのは明らかともいえる。今年もやはり昨年と同様、トップグループの「牝馬と牡馬」の差はほとんどないに等しいかもしれない。

 勝負強いマイネルチャールズが、ブライアンズタイム産駒らしい豊かな成長力をみせて有力馬の一頭に加わった京成杯を経て、ますます今年のクラシック路線は難しく、かつ楽しい展開になったと考えたい。ひょっとすると弥生賞のころになっても同じで、ヴィクトリー、サンツェッペリンの皐月賞は昨年だけにとどまるのではなく、今年もまた……がありそうな気がしてきた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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