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根岸S

  • 2008年02月05日(火) 09時50分
 冬の雪解けの不良馬場。前夜から懸命の整備が行われたが、ドロドロのダートは水が浮いていた。朝の2Rでいきなり直線先頭のベニノアイ(後藤騎手)が、脚元に故障発症、転倒して予後不良になるなど、クッション層が水分過多のため平均を保てなくなっている結果、硬い路盤が浮き出ている場所があるのではないか。そんな危険を思わせた。

 残念ながらこのレースでも2番手を追走していたトウショウギアが故障し(予後不良)、3コーナー過ぎで急に後退したため、アドマイヤスバル、シルヴァーゼット、ビッググラス、シンボリグラン……などが、大きく進路変更を余儀なくされた。避けられない事故ではあるが、多量に水の浮いたダートコースは危険。オールウェザートラックへの転向論議、研究は一段と加速するかもしれない。

 勝った人気のワイルドワンダーは苦しい位置でもまれ、厳しいレースになったが馬群をこじあけて力強く抜け出した。ベストに近い1400mとはいえ、これまでより一段と鋭くなった。目標のフェブラリーSへの視界良好といえるが、雪の影響で前日の輸送問題があった影響か、レース間隔が開いていたわりに小さく映るほどの仕上がり。このあとはさらにたくましさを加えることができるかだろう。

 2着に粘ったタイセイアトムは一連のレース内容から、また同じような先行タイプのそろった東京1400mではさすがに苦しいと思えたが、寸前まで粘って1分22秒9。トウショウギアが故障し、前半34.3-46.3-58.2秒のペースは考えられていたよりずっと楽だったこともあるが、この相手に東京の1400mを粘ったのだから立派。やがて2〜3番手の競馬もできる気がする。

 そのタイセイアトムが粘った流れを考えると、3コーナー過ぎでブレーキをかけるように外に振られた不利があって3着に突っ込んできたアドマイヤスバルは負けて強し。着順、時計以上に中身のある内容だった。プラス12kgでも太め感はなく、むしろパワーアップを感じさせた。一方、プラス16kgのマイネルスケルツィの方はフットワークが小さく見えたから、これは少し重め残りだったろう。

 道中の不利があって力を出し切れなかった馬がいたとはいえ、12歳ノボトゥルーがそう差のない7着に伸びてきたからすごい。さすがにこの馬に差されたグループは落胆だろう。中でトラストジュゲムは内枠のため外に出すことができなかったのが残念。ゴール前まだ脚があったように思えた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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