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種牡馬展示会、始まる

  • 2008年02月12日(火) 23時49分
 2月12日、新冠町明和にあるビッグレッドファームにて、日高地方では今年初めてとなる種牡馬展示会が開催された。

 午前10時半、ほぼ無風ながら小雪の降るあいにくの空模様となったが、日高各地をはじめとする多くの生産者や関係者が集まり、次々に展示される種牡馬に熱い視線を送っていた。

ビッグレッド展示会1

 ビッグレッドファームは、今年、新たにステイゴールドとイーグルカフェを含め、計10頭の陣容でシーズンに臨む。今年3年目の供用となるロージズインメイ、昨年初年度産駒がデビューし、順調な滑り出しのアグネスデジタルなどを筆頭に、マイネルラヴ、ゼンノエルシド、タイムパラドックスなどを擁し、昨年はこれまでで最多となる721頭の配合頭数を記録した。

ビッグレッド展示会2

 繁殖牝馬数が全体的に漸減傾向にある中、各種馬場では、配合頭数確保のために、様々な工夫を凝らす。このビッグレッドファームでも、より多くの繁殖牝馬を集めるべく昨年より「割引券」を発行している。

 対象者は「昨年、受胎条件で配合申し込みをした」か「一昨年、出産条件で申し込みをした」生産者(あるいは繁殖牝馬所有者)で、「支払い期日までに全額支払い済み」であることが条件である。

 ここで簡単に解説しておくと、「受胎条件」の場合には、9月末あたり、そして「出産条件」の場合には、産駒誕生後1か月以内あたりが種付け料支払いの期限として予め設定されているものの、中にはこの期限を守らずに、支払いが遅延してしまうケースがままある。そのために、敢えて、対象者を「昨年、期限までに約束通り、種付け料を完納した人」としているのである。

ビッグレッド展示会3

 本年、対象となるのは、イーグルカフェ、スパイキュール、マイネルセレクト、マイネルラヴ、ロサードの5頭で、比較的リーズナブルな価格帯の種牡馬ばかり、である。割引率は受胎条件で10%、出産条件で5%。

 実際に、生産者としても、配合に苦慮するのはこのクラスの種牡馬で、種付け料が安い分、負担はそれだけ軽くなるのだが、販売する時には逆に不利であることを誰しも経験則として知っている。「海老で鯛を釣る」ようなことはかなり難しく、例えば市場などに生産馬を出した時、まず見られるのは父馬欄であり、性別であり、母系であり、これらが凡庸ならば、後は本馬が抜けた好馬体であるくらいの“売り”がなければ厳しいのである。

 さて、ビッグレッドファームの総帥・岡田繁幸氏が今年もっとも力を入れているのは、もちろんロージズインメイで、一昨年192頭、昨年153頭の配合頭数を記録し、事実上、ここのエースとして期待が大きい。先頃発行された「種牡馬特集号2008」(道新スポーツ・馬事通信部、発行)には、主要な種牡馬ごとに配合牝馬名や生産者名、電話番号、出産予定日がすべて記載されているが、それによれば、ロージズインメイの場合には、昨年配合した153頭中65頭が、ビッグレッドファーム及びコスモビューファームで占められていた。因みに、社台グループの各牧場でも計20頭、配合しており、その他、下河辺牧場や岡田スタッドもそれぞれ7頭、5頭と多頭数である。期待のほどが窺える数字と言えよう。

 こうした内訳は、かなり多くの生産者が注目している部分で「どこの牧場がどの馬を何頭つけているか」をこの時期になると丹念にチェックし、それぞれの種牡馬の“期待度”を推測するのである。

岡田繁幸氏

 岡田繁幸氏は、展示会終了後、マイクの前に立ち、「どうかロージズインメイをよろしくお願いします。生まれた産駒は極力買うように努力します」と結んだ。3年目を迎え、ロージズインメイ産駒はたぶん今年の1歳市場にもたくさん登場するだろう。どんな結果が待っているか、注目して行きたいと思う。

 なお、この後、種牡馬展示会は、来週18日がダーレージャパン、19日に社台スタリオンと続き、今月末まで予定が詰まっている。

 来週はダーレーか社台スタリオンの様子をお伝えしたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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