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弥生賞

  • 2008年03月10日(月) 12時50分
 中山の2000m3連勝となったマイネルチャールズ(父ブライアンズタイム)は、ホープフルS→京成杯→弥生賞を、2分03秒9→2分02秒9→2分01秒8。一戦ごとに約1秒ずつ時計を短縮すると同時に、上がり3Fも36.3→35.9→35.1秒。

 相手もペースも異なるとはいえ、確実にレースの中身を充実させてきた。今年の3歳牡馬陣はどの馬を「能力の基準」に据えるのが妥当か、なかなか明解な指針が見つからなかったが、ようやく最有力馬、かつ能力基準になる馬が浮かび上がってきた。

 2分01秒8は決して目立つ時計ではないが、今季の芝は天候不順もあって高速のコンディションではないこと。前半1000m61.8秒のスローで流れたことを考えれば、弥生賞のレベルとしても十分に例年の、それも標準レベルに達している。

 今回が6戦目。無理なローテーションは組んでいないこと。中山2000mを[3-1-0-0]。ブライアンズタイムの多くのクラシック勝ち馬と同様に、いま上昇中という絶好のタイミングで本番、皐月賞に挑戦できそうなこと。母方からもタフで成長力ある血を受けている。マイネル勢、初のクラシック制覇も見えてきた。

 大目標は「日本ダービー」であり、皐月賞などそこに至るステップにすぎない、くらいのリラックスムードでゆったり構えてほしいものだ。松岡騎手が積極的で自信にあふれているのはマイネルチャールズに合っている。昨年のサンツェッペリンを大きく上回るレース内容が可能だろう。

 2着ブラックシェルは、中位の外につけていつでもスパートできる態勢。スローは分かっているからもう少し早めに動くかと思えたが、今回の武豊騎手はどんなことがあっても3着以内の権利だけは「絶対に確保」がテーマ。必ずしも勝ちに出たわけではないようなところもあった。シャープな反応を示すタイプというより、瞬時の反応は鈍くても体つきなど同じ厩舎のフサイチホウオーに似た筋肉のつき方で、迫力は十分。上がり34.6秒は今回のメンバー中最速。マイネルチャールズとの4分の3馬身差は、本番ではあってないに等しい。

 着差は少ないが、ゴール直後の感覚として、皐月賞でも好勝負必至は上位2頭か…の印象があった。うまくレースの流れに乗った3着タケミカヅチ、ひと回り大きくなり、たくましさを加えてきた4着キャプテントゥーレの2頭は、決して侮ってはならないが、さらに大きく変わるかとなると半信半疑。精いっぱいの印象がなきにしもあらず、だろう。

 新星として注目されたアインラクスは、パドックはともかく本馬場に入ってからの仕草があまりに幼く、まだ体つきも成長の途上。良くなるのはもう少し先と映った。

 逆に、仕上がりすぎている危険はあっても、ステップレース向きのセンスの良さを発揮してくれるのではないかと思えたフサイチアソートは、スタートで寄られて下げざるを得ない不利はあったものの、迫力負けも確か。小さいながらもバネある動きは捨て難いが、一歩も二歩も後退だろう。

 スズジュピターは休み明けもあってちょっとカリカリしすぎ。現状では距離2000mは少し長いのではないかと思わせた。あと、賞金から本番に出走可能なのはオリエンタルロックだが、体つきの良さは好走組にヒケをとらず、このあと本番に向けて大きく変わっても不思議はない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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