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フィリーズレビュー

  • 2008年03月17日(月) 13時00分
 近年はここをステップに桜花賞を好走する馬が少なくなっている。とはいえ、同じ阪神コースで距離が1F異なるだけ。05年ラインクラフト、02年ブルーリッジリバーなど、本番での快走馬はいる。まして今年の場合、桜花賞の有力馬はそう多く存在するわけではないから新しい候補の出現が期待された。

 エイムアットビップは、チューリップ賞のトールポピー、オディールとの比較から人気になって当然。ただし、熱発があったことを陣営は公表していた。それでもこの相手なら…、あの直前の動きなら…の支持を受けたが、追い出してから全くいいところなく10着の惨敗。プラス10kgの馬体はそう太めとは映らなかったが、やっぱり熱発による調整の狂いは大きかったろう。まだ脱落したわけではないが、きわめて評価の難しい候補の1頭となった。完調手前で出走の反動が出る危険もあり、また本番も直前の追い切り一本で臨むようだとあまり大きな期待はしにくくなる。

 2番人気はエーソングフォー。こちらは紅梅Sでエアパスカルに勝っていることが評価されたが、その紅梅Sは1400m1分23秒7。次に結び付けるのが非常に厄介なレース(今回のマイネレーツェルは0.3秒差6着)で、ちょっと今回は人気になりすぎ。獲得賞金から本番への出走OKと思えるが、大きな変わり身はどうだろう。

 1分22秒5の時計は、前日の「うずしおS、古馬1600万」の1分21秒7を目安にすると、決してレベルが低いということはなく、またレースの流れは34.8−46.7−58.3秒…。波乱を生むようなペースではなく、ごく普通の1400mの内容。ここで凡走した賞金上位の2頭は本番への見通しは明るくない。

 後方で注文をつけたマイネレーツェルが大外から直線一気。ステイゴールド産駒らしい勝負強さ、タフな一面を見せつけた。ここまでの一連の内容から思い切ってためる戦法が見事にツボにはまった感がある。本番では乗り替わりになること、阪神の1600mは注文をつける後方一気が決まりにくいことなど、有力馬に浮上したとはいえないが、小柄馬ゆえの鋭さは光った。

 巧みにインをついたとはいえ、2着ベストオブミーの方が本番では侮れない。少し時計がかかるコンディション大歓迎のパワーがあり、内を回ったとはいえ今回の上がりは34.9秒。もう芝に対する不安は解消した。

 位置どり、レースの流れから、3着レジネッタは阪神JF・6着、エルフィンS・3着の内容とだいたい同じような能力を発揮していると考えることができる。各馬の成長の度合とは別に、阪神JFでレジネッタが示したあたりの能力が、今年の桜花賞の有力馬か、そうではないかの尺度かもしれない。

 権利を取るのに失敗したグループでは、ビーチアイドルは賞金からまだ望みがあり、5着とはいえ差しタイプが上位独占だったことを考慮すると、3着までの上位馬とは少なくとも互角だろう。1400mなら…と期待したエイシンパンサーは、今回はタメが利くと思えたが外枠もあって好スタートを下げようとしたところでかかってしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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