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スプリングS

  • 2008年03月24日(月) 13時00分
 あふれる候補の中から次々と脱落者が出るような路線になっている今年、ここも新星が飛び出したというより、とりあえず春のクラシックからは一歩後退。少なくとも皐月賞には出走できない馬が選からもれた。またまたそんな形のレースになった。

 勝ったスマイルジャックは、確勝と思えた2戦目にとりこぼして以降あと一歩が足りずに脱落しかかっていたが、今回は小牧騎手の強気で積極的な姿勢が正解だった。スローはみんな見えていた。好スタートから1コーナーを回る地点で先頭。この時点で出走権確保の3着以内は確定だった。向こう正面でかかったショウナンアルバを行かせ、早めにスパートして上がり35.4秒。これまで強敵相手にもまれてきたキャリアがフルに生きた。

 大きくパワーアップしたともいえないこと。また、小桧山調教師が「今回、究極の仕上げに成功してしまったよ」と返し馬を見ながらつぶやいたように、もしかすると上がり目に乏しい危険はあるが、初重賞制覇によりここになってようやく皐月賞候補にとどまることに成功した。

 2着のフローテーションもあやうく路線から脱落するところだったが、立て直しに成功し踏みとどまった。横山典騎手の絶妙のコースどりとスパートのタイミングでメンバー中最速の上がり34.7秒。あと一歩だった。春になって絞れたマイナス10kgの馬体はちょっと細く映ったが、スペシャルウィーク自身がそうだったように細くギリギリに見えるぐらいのときに全能力を発揮するのが、父の産駒の特徴のひとつ。今回はフロックではない。ただ、本番で誰が乗るのかが大きなカギになる。

 1番人気のショウナンアルバは、またかかってしまった。とはいえ、前回の共同通信杯ではもっと折り合い面のロスがありながら快時計で抜け出している。だから今回の高い支持になったわけで、ハナに立ってからは折り合った3〜4コーナーの楽な行きっぷりからすると、直線は案外も案外。コーナーの多い中山の内回りはあまり得手ではないのかも、と思わせた。「本番は前に馬を置く形で進みたい」というが、信頼感の乏しい候補が多い中、この馬もまた巧くツボにはまれば…なのだろうか。

 期待の大きかったサダムイダテン、アサクサダンディは、残念ながら皐月賞路線からは外れた。ともに巻き返しに注目したいが、サダムイダテンは共同通信杯よりさらにレース内容が悪くなっていたのが気になる。距離も延びないほうがいいだろう。

 賞金から皐月賞出走OKの組では、アポロドルチェはこのペースで失速は苦しい。レインボーペガサスは、今回は落ち着きがなさすぎた。前回接戦のスマイルジャックと明暗を分ける形になっただけでまだ脱落したわけではないが、距離2000mに?は残る。ドリームシグナルも本質マイラーなのだろう。着差こそ少なかったが2000mになるとさらに位置取りが難しくなるかもしれない。

 レッツゴーキリシマは追って切れるタイプではなく、今回は控える策だったが先行してこそ持ち味発揮と思える。スプリングSを終えた時点で、一応は崩れないマイネルチャールズ一歩リードの勢力図は成立したが、改めて「残った馬はみんなほとんど差がない」力関係が浮き彫りになってきた。ひょっとすると今週、最後のステップ毎日杯でさらに有力候補が増えるのかもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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