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POG取材チーム、生産地入り

  • 2008年04月01日(火) 23時49分
 先週お伝えした「ばんえい記念」の前後は、いったいどうしたのかというくらいのポカポカ陽気が続き、そのために23日の帯広競馬場はたくさんのファンが押し寄せ、ずいぶん賑わった。ところが、週が明けて月末が近づくにつれ、天候は一気に不順となり、また北海道は大型低気圧の影響下にある。エイプリルフールの今日、釧路や根室は大荒れで暴風雪波浪警報が発令された由。高校の屋根が剥がれて飛んだというし、瞬間最大風速もそれぞれ30mを超えたようだ。

 この時期は、まさしく一進一退の天候で、春がなかなか訪れない。日高こそ雪は大して降らなかったものの、気温が低く、今日4月1日は北風の強い肌寒い一日だった。

POG取材チームが生産地入り

 そんな中、早くも東京方面からPOG取材チームが生産地入りしている。これから4月下旬にかけて、各社それぞれに「有力馬」を発掘するべく主要な育成牧場などに取材攻勢をかけることになる。

 現在POG関連の情報を発信しているのは、全部で何社あるだろうか。単行本では俗にいう「赤本」(光文社)「青本」(KKベストセラーズ)「黒本」(流星社)などの他、同じく「黒表紙のPOG本」を白夜書房も刊行しており、まさしく花盛りだ。

 その他、各雑誌でも特集を組んだり別冊としてPOG本を出したりと競馬マスコミにとってPOGは完全に一つの地位を占めつつあるようだ。

 各社がそれぞれ取材チームを派遣するということは、牧場側にとってみれば、同じような取材が入れ代わり立ち代わり、訪れることを意味する。いずれも目的はただ一つ「今年の有望な2歳馬はどれ?」なのだ。

 大半の育成牧場は、基本的に取材OKの姿勢だが、現場で働く従業員にとっては、実は迷惑極まる話なのである。なぜならば、媒体の数だけ取材が押し寄せ、その都度、対応せざるを得ないからだ。

「一度に済ませられないものか」とよく愚痴を聞かされる。ただでさえ2歳馬にとって春はデビューを控え、調教が佳境に入ってくる時期。調教スタッフにとっては疲労が蓄積されてくる時期でもあり、まして5月下旬にはトレーニングセールが待っている。「とてもいちいち対応していられない」のが本音なのだ。

 とはいうものの、取材する側は牧場のそうした都合をあまり考慮してくれない。むしろ他社を出し抜くために、共同取材を嫌う傾向が強いとも聞く。

 取材がピークに達するのは、今年の場合、4月22日(火)〜25日(金)の4日間に行なわれる「第一回産地馬体検査」である。ただし全ての有力馬がこの時に検査を受けるとは限らず、後回しになる例も少なくないので、どうしても個別の牧場取材は不可欠になってくる。

 とはいえ、冒頭に記したように、この時期「微風、晴天」の日は少なく、天候は目まぐるしく変化する。産地馬体検査は予め日程が決められていて、どうしようもないのだが、せめて牧場取材は各社協定の下、日程調整ができないものか。

 牧場側には前もって「必要頭数+α」のピックアップをしておいてもらい、どの馬を選択するかは取材者のセンス(相馬眼)に任せる。「他社には内緒で逸材をこっそりと教えて欲しい」と言ったところで、牧場側にとってみれば、いわば何のメリットもない話なのだ。それより「自分の目で確かめてくれ」という程度の心境だろう。

 ますます加熱しつつあるPOG。競馬の楽しみ方の一つとして、こうした「仮想馬主によるポイント争いごっこ」が盛り上がるのも今の時代を象徴しているのだろう。ならば、なおのこと、取材する側とされる側とがともになるべく負担を軽減する方向で「交通整理」をしなければならない時期に来ているように思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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