きわめて古典的な波乱で決着のついた3000mだった。
長距離の逃げ馬は怖い。これはもう誰でもわかっている。マイネルデスポットは逃げ宣言をしていた。ただし、マイネルデスポットは明らかに格下で、たとえマイペースで逃げても捕まるはずだった。
ところが、スローペースで逃げているのに2番手以下はこの逃げ馬から離れて追走してしまった。前半1000mは63秒、2000m通過は2分7秒2の超スロー。これから離れて追走のエアエミネムの2000mの通過など2分10秒前後だろう。中団のジャングルポケットはもっと遅く、最後方のダンツフレームなど2分11秒台。それでもだれもスパートしない。異常な流れだった。
最近、長距離のG1レースは少ない。みんなペースが分からなくなってしまっている。スタミナには自身のない馬が多いから、誰か目標となる人気馬か、信頼の置ける騎手がスパートしてくれないと動けない。肝心の武豊騎手はなんと最後方にいるから、他の騎手は目標とする目安がない。直線、マンハッタンカフェが素晴らしい切れ味を爆発させて届いたが、もうこれはたまたまなことで、レースをちゃんとしたのは、おそらく2着のマイネルデスポットだけといってもいい過ぎではないかもしれない。
的中させたファン以外は、まあレースが終わってしまうと、なんとなくむなしいものだが、中身が濃ければ納得する。しかし、今年の菊花賞は消化不良のようなレースだった気がする。長距離戦が少なくなって、またスタミナに自信の持てるステイヤーがいない時代だから仕方はないのだが、G1の長距離はに肉を切らせて骨を…が見どころなわけで、みんなが足を余した印象を与えては、失敗だろう。3分7秒台は最近は出現することも多いが、これは1960年代の時計で、レベルの高いとされる今年の3歳馬にしては、ちょっとおそまつだったかもしれない。
もっと充実の長距離が見たくなってしまった。