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やっぱり変わらない東京芝

  • 2008年06月10日(火) 15時00分
 先週の当コラムで東京芝を回顧した際に、「馬場が悪化して坂路で本数多く調教した馬が速い上がりを使えるというのは、京都外まわりの開催が進んだ時の傾向にそっくり」というフレーズを入れました。これを象徴したのは6日目。9〜11Rまでが芝1400、1600mの競走でしたが、その勝ち馬であるランスロットル、トップオブツヨシ、ウオッカはすべて坂路もしくは併用で、本数多い調教を課された馬でした。

 ただ京都外まわりの傾向とひとつだけ違っている傾向があります。それが「脚質」です。

 今の東京芝は後方の位置取りから上がりを使ったからといって上位争いできるとは限りません。それだけ前が残りやすい馬場だということです。例えば、安田記念のウオッカは好スタートから絶好の位置取りから競馬を進めて、メンバー最速の上がりを使って優勝することができましたが、後方からの競馬になった同じ調教タイプのエアシェイディ、スズカフェニックスは差のない上がりを使うことができても、3着争いがやっとの競馬でした。

 この傾向は若鮎賞、湘南Sでも同じだったので、調教適性を重視するのはもちろんですが、それと同じくらいに脚質を考慮するべき馬場だということです。

 今週は1800mのエプソムCが行われますが、先行できる脚質で中間の調教量が多い調教タイプが中心になるでしょう。調教馬場に関しては1600mよりもトラック的要素が求められるはずなので、坂路よりは併用調教が有利。インターネット競馬新聞デイリー馬三郎の特別登録から各馬の調教内容を確認していただければよく分かりますが、現時点で調教適性が高いのはヒカルオオゾラでしょう。

 ダートに関しては5日目鎌倉Sで馬なり中心の調教タイプが1〜3着を独占したことにより、この調教タイプが好走できる軽い馬場だと想定しましたが、同じ距離で行われた6日目三浦特別では見事な差し競馬となって、本数多い坂路調教を課されていたボーナスフィーバーとトラックで一杯に追われていたソフトパワーで決着しました。そして6日目に同距離で行われた500万下で単勝1倍台の圧倒的支持を受けたスコルピオンキッスが、馬なり中心の調教で直線に入って絶好の手応えながら伸びなかったレース内容から、鎌倉Sが例外であり、2回東京から続いている強さがあって本数も多い調教タイプが好走する馬場であることには変わりなかったということでしょう。

 続いて中京。まずは芝ですが、先々週の傾向からは完全に外が有利の馬場になると思いましたが、仮柵移動があったことで、想像していたほど顕著な傾向は出ませんでした。よって1200mに関しても逃げた馬が勝てないまでも3着になら残れる展開。非常に軽い馬場であることは確かです。これは6日目飛騨Sも1分8秒1という好時計に加えてレースの上がりが34秒4という数字からもはっきりと分かります。

 ただ中距離になると6日目7Rを勝ったローザブランカのように牝馬限定戦でも坂路で本数多く調教されている馬が差し脚を活かしており、路面自体は確実に調教量が必要な馬場へシフトしてます。今週中の雨量によっては1200mでも中距離と同じような調教傾向になる可能性は十分に秘めており、8日目に行われるCBC賞では7日目の調教傾向をしっかりと見極めた上で中心となる馬を選択するべきでしょう。このあたりは、競馬総合チャンネルの「速報!調教Gメン」で解説したいと思います。

 最後にダート。こちらは強さも本数も非常に重要な馬場。5日目1Rでスパルタに調教されたスズカクリアーが単勝万馬券。これに象徴されるように、1700mのレースでは常に一杯に追われた馬もしくは調教本数が多い馬が好走しています。6日目12Rでも1〜3着まですべてがどちらの調教タイプに該当しており、この傾向は今週末も続くものと思われます。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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