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エプソムC

  • 2008年06月16日(月) 12時55分
 多くの年はいかにも春シーズン末のGIII、そんな波乱が連続してきた重賞だが、今年は勝ったサンライズマックスも2着ヒカルオオゾラもまだキャリアの浅い4歳馬。秋のビッグレースにつながること必至の成長株が台頭した。直後のCBC賞でも楽しみな4歳馬が強い勝ち方をしている

 勝ったサンライズマックスは53kgの中日新聞杯を3歳秋に制しているものの、今回は初の東京コースで別定56kg。4番人気にとどまったが、追い比べになったゴール寸前、計ったように抜け出した。初の東京コースで別定重賞を制した自信は大きい。大きくはない馬体はステイゴールド譲り。母は未勝利でも祖母マックスフリート(その父ダンサーズイメージ)は東海公営を中心に15勝もした女傑。ミラクルオペラの母でもある。

 流れに乗ってうまく切れ味を引き出すのがここまでの勝ち方で、まだまだGI級というには迫力の点で物足りないが、タフな成長力を示してくれることは間違いない。ずっと2000mを使われてきて1800mはこれが2度目。1分45秒9で乗り切ったから、スピードレースに対応できることも示した。

 1番人気のヒカルオオゾラはまだキャリア7戦。今回は「他馬と接触してしまった」こともあって、前半からずっとかかり気味だった。4コーナー先頭は本意ではなくやむをえず…だったろう。結果、最後になって同馬の最終1Fは12.7秒。外のグラスボンバー、内から突っ込んできたトウショウヴォイスに危うくかわされそうになったが、初めての重賞挑戦だったことを考えればさすがだった。かかり気味に先頭に立って1400m通過1分21秒7-1600m1分33秒3は厳しすぎた。

 前回の京都1600mを楽々とマイルCSレベルの1分32秒5で乗り切ったスピード能力は、すでにトップランク。今回の敗因になったキャリア不足が死角でも、秋には天皇賞2000m、マイルCSの有力馬に育って不思議ない。

 2番人気のファストロック、3番人気トーホウアランは期待のわりにともに案外の完敗だった。ファストロックは初めてもまれる形になって伸び脚なし。もちろんキャリア不足のためで、速い流れのレース経験なしも痛かった。このあとは脚質を持たせたいが、強気に先行したほうがいいタイプなのかもしれない。トーホウアランはいつも高い評価をしてしまうが、敗因は距離ではないように思える。ビシビシ追って今回こそ秘める能力発揮と思えたが、当日の気配は案外。なぜかまったく目立たなかった。3番人気は決して過大評価でも期待のかけすぎでもないはずだが、本質がレース巧者でも優等生タイプでもないのだろう。見放されたころ、また巻き返してくる気がする。

 グラスボンバー、トウショウヴォイスの善戦快走は、このあとのローカルシリーズにまた今年もそのまま連動する。とくに8歳グラスボンバーは、得意の福島でもうひと仕事に結び付く調子上昇かもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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