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マーメイドS

  • 2008年06月23日(月) 13時00分
 今年の組み合わせは少し馬場が渋った程度ならそう大きな波乱はなさそうに見えたが、勝ったのは最軽量48kgでしんがり12番人気のトーホウシャイン。10番人気ピースオブラヴが2着。3連単193万円の配当には「この組み合わせでそれだけしかつかないの?」、記者席でそんな声さえ飛び交う難しい結果だった。

 今年も波乱を思わせる予兆はあった。回復に向かっていた芝は直前10レースを迎えるころ、カメラを通してさえ向正面が見えないほどの豪雨に見舞われ、一転して水の浮いた実質不良にも近い馬場。この相手ならと期待を集めた人気のベッラレイアは、中間に回復した馬体とは違ってまたまた当日452kg。前回と同じでもパドックではむしろ小さく映った。雨を嫌ってかトモの送りまで小さくみえた。

 馬場を考え逃げの手に出た福永祐騎手のピースオブラヴの前半1000m通過は61.1秒。走りにくい馬場を考慮しても決して速い流れではなく、好位につけたベッラレイア以下、直線もう少し伸びても不思議なかったが、馬場を苦にした人気どころはことごとく末脚不発。インぴったりを回って伸びてきたのは最軽量の伏兵トーホウシャインだけだった。勝った崎山調教師が「一番びっくりしているのはオレだ」というぐらいだから、陣営も1000万条件からの格上挑戦に勝算があったわけではないのである。

 波乱をもたらしたハンデ戦で重賞初勝利を決めたのは、平地でも障害でも最近はほとんど勝っていなかった高野容輔騎手(24)。昨年は障害で1つ勝っただけ。今年はこれが初勝利だった。障害戦を60kgの斤量で乗って、平地の今回は斤量48kg。いつも自身の体重はどれくらいなのだろう。今回は慣れない減量をこなしたというが、めったにない重賞に乗れるチャンスとあって相当の無理をしたに違いない。そういう事情を知っている仲間の騎手や関係者がみんな驚きながらそろって祝福したと伝えられる。重馬場の中を頑張った伏兵トーホウシャインも見事だが、高野容騎手にとっても素晴らしい1勝だった。

 これだけ走りにくい馬場だと各馬の敗因は「ノメって競馬にならなかった」ということになるが、ベッラレイアを見ていて、ふと期待されながらあまり変わらなかったインパーフェクト(父ナリタトップロード)を思ってしまった。立て直した秋には、ぜひ、本来のベッラレイアに戻ってほしい。同様にザレマ、ブリトマルティスももっとパワーアップして次のチャンスに備えたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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