アグネスデジタルとクロフネ、秋の天皇賞出走枠をめぐり注目された2頭の外国産馬でしたが、片や天皇賞馬に輝き、片やダートのマイルに驚異的なタイムをマークし、ともにさらに視界を広げる結果を迎えたことは、何ともめでたいことでした。
アグネスデジタルが南部杯に勝ち、急きょ天皇賞に出走することで武蔵野Sに回らざるを得なくなったクロフネについて武豊騎手は、これでいいのですと語っていました。単に騎乗が重なるということでなく、初ダートでも自信があったのでしょう。それに、結果如何では、世界を舞台にという展望も開けます。
この一年、欧米を主戦場にしてきた武騎手にとり、芝もダートも区別なく果敢にチャレンジする世界の強豪たちを見るにつけ、日本調教馬で同様にステージに立ちたいという思いはあるでしょう。
初ダートで快走したクロフネは、ドバイワールドC、北米のブリーダーズCといった世界の最高峰をめざすことも可能かもしれません。次走の楽しみを与えてくれました。
また、アグネスデジタルの四位騎手には、香港の国際レースという桧舞台が待っています。初の芝2000m、しかも道悪という未知の領域でどれだけやれるか、確信のないままのレースでした。これだけ走るとは、馬を信用していなくて申し訳なかったと、レース後語っていました。
誰しもが予想できなかった局面でしたから、ただ、アグネスデジタルの精神力をほめ、新しいタイプのチャンピオン誕生を祝福するのが一番だったということでしょう。
国際舞台へという流れは、競馬にあっても当然、多くが望むところです。可能性を追い求める姿勢こそ、この場合大切です。外国産馬という区切り方が、どれだけ時勢から離れているか、うすうすみんなが感じたのではないでしょうか。新しい時代に入っていくような気がしてなりません。