テン乗りで決めた名手の判断

ロデオドライブ(撮影:下野雄規)
高速の芝とハイペース(前半45秒2→1000m通過56秒9→)が重なり、レース史上2位の快時計1分31秒5が記録された。これまでのレースレコードは2010年にダノンシャンティ(父フジキセキ)が打ち立てた1分31秒4(レース全体の前後半のラップバランスは44秒8-46秒6)だった。だが、今回のレース後半は「11秒7-11秒7-11秒5-11秒4」=46秒3。完全な追い込み競馬ながら尻上がりにハロンラップが速まっている。高速の芝だけがもたらしたとは言えないレベルの高い内容だった。
2010年に追い込んで勝ったダノンシャンティの上がりは「33秒5」。当時は上がり33秒台は勝ち馬だけだったが、今回は勝ったロデオドライブ(33秒3)、2着のアスクイキゴミ(33秒5)、大外を回って少しロスした印象の9着エコロアルバ(33秒7)、置かれすぎて脚を余した印象もある10着バルセシート(33秒5)まで、計4頭もが上がり「33秒台」だった。当たり前ではあるが、明らかに全体レベルが高まっていた。
だが、あの当時驚異の快時計で勝ったダノンシャンティは次走の日本ダービーは出走取り消しとなり、以後3戦連対なし。2着ダイワバーバリアンも次走17着に終わってともに浅い戦歴で引退している。まだ未完成の3歳馬がNHKマイルCを「あまりの快時計で走り過ぎると危険」がささやかれていたが、現在の芝状態は当時とは大きく異なる。今年のロデオドライブ以下、いきなり2秒近くも速いタイムを求められたグループにも反動などなく、順調に成長してくれることを願いたい。
勝ったロデオドライブも、2着アスクイキゴミも、ハイペースの激戦になるのを分かっていたかのように、前半は後方集団の外をリズム良く追走。早めに動く気配はまったくなかった。4コーナーを回って揃って馬群を避けるように外へ。先行タイプ、早めにスパートしたグループのストライドが鈍るのを確信していたかのような追い込みだった。しかし、後半のラップが示すように、3着アドマイヤクワッズ(父リアルスティール)、5着ダイヤモンドノット(父ブリックスアンドモルタル)がバテたわけではない。とくに最後の1ハロン「11秒4」の地点で勝負を決めたのだから、D.レーン騎手、戸崎圭太騎手の感覚はさえわたっていたというしかない。2頭はともにテン乗りの初騎乗。2人のジョッキーを配した陣営のしたたかな作戦が実を結んだともいえる。
これで最近10年間のNHKマイルCで3着以内に快走した馬のうち「21頭」までが外枠を引いた馬番2桁の馬となった。また、30頭のうち同じく20頭近くが、前半は中位より後方に位置していた差し=追い込み策を取った馬となった。
まだ、キャリアの浅い3歳馬同士の高速決着のマイル戦。中にはスピード、総合力の違いで先行して押し切る馬も出現するが、8割方レース上がりは「34秒台後半以上」になっている(今年は34秒6)。差す脚を引き出してもらえる馬を主軸にしないと的中の可能性は低い。