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【スプリングS】多くの活躍馬を送る米ファミリー出身 シックスペンスがクラシックに名乗りをあげる

  • 2024年03月18日(月) 18時00分

流れに乗って先行した馬だけが上位を占めることになった


重賞レース回顧

スプリングSを制したシックスペンス(撮影:下野雄規)


 良馬場に恵まれたが、向こう正面は強い向かい風に見舞われ、キャリアの浅い3歳馬にはかなり走りにくいコンディションだった。

 時計を要するレースになることが予想されたが、先手を主張した伏兵アレグロブリランテ(父ディープブリランテ)の作ったペースは、これも行きたかったコスモブッドレア(父ゴールドシップ)に絡まれるシーンもありながら、前半1000m通過「63秒1」。超スローの展開に持ち込まれた。

 4コーナー手前で馬群はかなり固まったように映ったが、スローなので刻まれた最後の2ハロンのラップは「10秒9-10秒8」。レース上がりは「33秒7」。流れに乗って先行した馬だけが上位を占めることになった。スピード感覚が強い風に幻惑されたこともあるが、皐月賞の優先出走権のかかったレースとすると、多くの馬がちょっとばかり大事に乗りすぎたかもしれない。

 10頭のうち、少し鈍って上がり3ハロンが「34秒台」になったのは、先行した2頭だけ。残る8頭のそれは「33秒3-33秒9」だった。光ったのは上がり最速の33秒3を記録して後続に3馬身半の差をつけたシックスペンス(父キズナ)だけだった印象が濃い。

 この高速上がりのレースで2着以下の馬に3馬身半差はすごい。前走時馬体が急成長して粘りに粘った2着アレグロブリランテも、直線の反応一歩ながら大接戦の3着争いからハナ差だけ競り勝ったルカランフィースト(父イスラボニータ)も、優先出走権確保なので讃えなければならないが、現時点では切れ味、自在性ともにシックスペンスには大きく見劣る感は否めない。

 シックスペンスは、多くの活躍馬を送るUSAのファミリー出身。あまり距離延長は歓迎しない可能性もあるが、7ハロンのダートG1勝ちを含め19戦11勝の母フィンレイズラッキーチャーム(2013)には、日本でもきわめてタフな影響力を与えてきた種牡馬Cryptoclearanceクリプトクリアランスの「4×3」の血を持つ強みもある。2400m級までは大丈夫だろう。あえて心配な点があるとすれば、3連勝はすべてスローの上がり勝負。きびしい流れを経験していないことか。

 咋2023年、初の2歳リーディング1位になった種牡馬キズナ(父ディープインパクト)はこの3歳世代から、今回のシックスペンスを筆頭に、サンライズジパング(若駒S)、ジャスティンミラノ(共同通信杯)、クイーンズウォーク(クイーンC)、ライトバック(エルフィンS)。3歳クラシックの結びつく重要レースの勝ち馬を5頭も送り出したことになった。

 2番手以下の各馬は、このクラシック候補ランキングでは、厳しい評価になるだろう。2番人気ウォーターリヒト(父ドレフォン)は鋭さ負けの印象が強い9着。3番人気のジュンゴールド(父エピファネイア)は、置かれすぎて10着。ちょっと残念だが、皐月賞路線からは脱落してしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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