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【共同通信杯】マイラプソディの敗北で変化するクラシック候補の評価

  • 2020年02月17日(月) 18時00分

勝ち馬はクラシックでも侮れない存在に


 単勝1.5倍の断然人気に支持された3連勝中のマイラプソディ(父ハーツクライ)が伸びを欠いて4着に凡走した一方、勝ったのは条件賞金400万円の1勝馬ダーリントンホール(父New Approach)、2着も1勝馬(400万)のビターエンダー(父オルフェーヴル)だった。

 まだ、みんなキャリアの浅い3歳馬のこと。クラシック候補ランキングはきわめて流動的だが、マイラプソディはコントレイル(3戦3勝)、サリオス(3戦3勝)に次いでかなり上位ランクと考えられていた候補の1頭。マイラプソディを筆頭とした各馬の評価はどう変化するのだろう。

 同じ芝1800mでは、直前9Rの初音S(古馬3勝クラス)の勝ちタイムは1分48秒2「60秒7-47秒5-35秒4」。5Rの3歳未勝利戦が1分50秒2「61秒1-49秒1-36秒4」。

 そして共同通信杯は1分49秒6「63秒2-46秒4-34秒3」だった。前半のペースが大きく異なるので比較は難しいが、これより遅い時計での決着は2002年(稍重で勝ち馬チアズシュタルク)までさかのぼらないとない。今年を含め稍重の年は4回ある。

 ダーリントンホールはコースレコードで決着した葉牡丹賞2000mの3着時より明らかに良化し、また、ハナ差2着のビターエンダーも4着にとどまった京成杯2000mより進展していたとしても、今年の共同通信杯のレースレベルが高かったとは考えにくいところがある。

重賞レース回顧

接戦をハナ差で制したダーリントンホール(撮影:下野雄規)


 ダーリントンホールの父New Approach(ニューアプローチ)は、2008年の英ダービー馬。その父Galileo(ガリレオ)も2001年の英、愛ダービー馬。母方は3代くらい前までは中長距離系ではないが、4代母の父になる輸入種牡馬セクレトも1984年の英ダービー馬。

 2018年の英ダービー馬Masar(マサー)の父でもあるNew Approachは、日本では2017年の青葉賞を2着したベストアプローチ【3-2-1-5】の父として知られているが、同馬は時計の速いレースへの対応力と切れ味はもうひとつだった。ダーリントンホールは母方からみて重苦しいタイプとはいえず、最近になって日本向きの中距離タイプも送ってどんどん成績を上げているゴドルフィンの所有馬。しぶといスタミナを生かしクラシック路線でも侮れない成長株になったのは間違いないが、返し馬のフットワークからみて、稍重発表のタフな芝コンディションが抜群に合っていたのは否定できない。

 2着に粘ったビターエンダーは、芝ではあまり行くタイプではないF.ミナリク騎手が懸命になだめるようにスローに持ち込んだあと、坂上では勝ったと思えるシーンもあった。

 入線後、お互いの快走を称え合うというより、なぜかルメールの方に手を伸ばしたミナリクは妙に気が良すぎるように映った。惜しい写真判定で、自身の初重賞制覇達成だったかもしれないのに…。勝ったと信じたのかもしれない。京成杯より10キロ減の馬体重はこれまでよりシャープに見えた。「馬場は向いていたと思う(ミナリク騎手)」とコメントしたあたり、勝ち馬と同様、こちらもこの日の馬場が合っていた。

 3着フィリオアレグロ(父ディープインパクト)は、終始好位の外に控え、4コーナーを回って直線に向いた地点では差を詰めて伸びるかと思えたが、坂上でストライドが鈍り1、2着馬から4馬身差。最後はあきらめた印象の3着。新馬勝ち1戦だけのキャリアを考慮すれば善戦健闘ともいえるが、新馬→東スポ杯2歳S→弥生賞と3連勝した半兄サトノクラウン(父Marju)と比べると、いかにも成長の途上を思わせた。幼い身体つきで、トモの送りも甘かった。良くなるのはこれからだろう。

 4着に沈んだマイラプソディの評価は難しくなった。これが前出のコントレイル、サリオスとの対戦なら仕方がないともいえるが、最後はもう勝ち負けをあきらめていたフィリオアレグロに並びかけながら差し返された印象の4着だった。前日に京都2歳Sで完封した牝馬ミヤマザクラがクイーンCを制したため、ますます期待が高まっていただけに、惜敗ならともかく、この完敗は陣営にも大きなショックだった。

「単なるポカだと思いたい」「初めての東京が応えたのかも…」など、明確な敗因はなかった。2018年の共同通信杯を断然人気で7着に沈んで以降、とうとう復活できず最後は残念だったグレイル(父ハーツクライ)、2017年のホープフルS快勝後ずっと連敗中のタイムフライヤー(父ハーツクライ)がいるため、この時期に進撃の止まったハーツクライ産駒は、その後の育て方にむずかしい一面があるとされるが、好馬体のマイラプソディは、共同通信杯の凡走などウソだったように春のビッグレースで巻き返したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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