JRA今年最初の重賞・中山金杯。2021年の勝ち馬・ヒシイグアスが暮れの香港カップで2着。2019年にはウインブライトが香港クイーンエリザベス2世カップと香港カップ制覇への第一歩となる勝利。より目の離せないハンデ重賞となった。
2021年中山金杯(GIII)を制したヒシイグアス(写真提供:JRA)
プレミアムウィーク最後のコラムは私自身のエピソードで失礼をしたい。
1994年1月5日。金杯当日の中山競馬場。私はこの日、祖父に連れられて初めて競馬場を訪れた。当時まだ8歳になったばかり。スタンドを抜けた瞬間に“テレビで見ていた”あの光景が目に飛び込んで来た時の感動は今も忘れられない。駆け抜ける蹄の音、パドックを歩く馬達の美しさ…。そんな中、金杯の出走馬に惹かれる馬を見つけた。
名は「ケイワン」。後から調べると、青森生まれの持ち込み馬で大井デビュー。アポロピンク世代の南関東クラシック路線を早田秀治騎手と戦った馬だった。我ながら、渋い良いセレクトだ(笑)輝く栗毛の馬体に惹かれ、レースではこの馬を応援する事にした。
12頭中10着、完敗。なぜこんなにキレイな馬が負けるのか…悔しくて、当時の私は号泣した。
ケイワンはその年の札幌記念でホクトベガの4着するなど健闘。その後、中央を離れ岩手・水沢で勝利を挙げている。今なお続く競馬好きのきっかけをくれたケイワンは間違いなく私の「HERO馬」である。
2022年JRAの年間プロモーションは「HERO IS COMING.」時代を彩ってきたHERO馬達にスポットがあたるCMが放送され始めている。これだ! と思った。競馬の主役は馬とそれを支える多くの関係者。もっともっと皆が前面に出るリスペクトを持ったCMやイベント、番組が増える2022年でありますように。
皆さんの「HERO馬」が今日もどこかで走る。2022年も「そこに競馬がある限り」楽しみは終わらない。
筆者プロフィール:小堺翔太
タイムリーオフィス所属。タレント、フリーアナウンサー。中央競馬全レース中継キャスターをはじめ、中央・地方問わずグリーンチャンネルの競馬番組に多数出演。