スマートフォン版へ

【後輩2人と忘年会(2)】意地もプライドも捨てた…!?波乱万丈なジョッキー人生

  • 2018年12月18日(火) 18時01分
太論

▲左から川須騎手、高倉騎手、小牧騎手


今月の『太論』は、プライベートでも親交が厚い川須栄彦騎手と高倉稜騎手をゲストに迎えての忘年会! その第2回目となる今回のテーマは、3騎手それぞれの“2018年の総括”です。さまざまな出来事を通して揺れ動いた心境、新たに決意したこと、見えてきたこと──ジョッキーならではの心の変化をそれぞれに明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)


“2018年”のおかげでジョッキー生命が延びたかもしれんね


──2018年をトータルで振り返ると、やはり高倉さんはノーブルマーズでの活躍が印象的ですね。

高倉 馬がすごく頑張ってくれました。しかも、マーズに関しては、デビュー戦からジャパンCまで31戦して、一度も乗り替わりがないんです。今の時代を考えると、我ながらすごいことだなって。

川須 キョウヘイもでしょ? ※全21戦、すべて高倉騎手が騎乗

高倉 うん。マーズの吉木オーナー、キョウヘイの瀬谷オーナーには感謝しかない。しかも、どちらもいつもお世話になっている宮本厩舎の馬だし、改めて自分は人に恵まれてるなって思った。

小牧 ノーブルマーズは、宝塚記念3着やもんね。だいぶあとに知ったんやけど(笑)。

太論

▲ノーブルマーズを熟知している高倉騎手


──小牧さんもサイモンラムセスで出走していたのに…(苦笑)。宝塚記念のノーブルマーズは中団からの競馬になりましたけど、本当は小牧さんの後ろあたりにつけたかったのでは?

高倉 もう少し前目につけたかったんですけどね。ただ、あの馬はすごく気分屋さんで、スタート後も自分から進んでいくようなタイプではないんです。前につける競馬が多いのは結果論で。

川須 馬のリズムに任せて…っていう感じだよね。それにしても、宝塚記念3着かぁ。ホントにすごいよ。

高倉 最後は2頭に(ミッキーロケット、ワーザー)に離されてしまったけど、僕個人としては、あの一戦でGIに一歩近づけたような気がする。それまでGIでは掲示板に載ったこともなくて、GIに対してすごく壁を感じていたから。ただ、やっぱり勝ってなんぼの世界なので、2着、3着をなんとか1着に持っていけるようにしたい。いつも気に掛けてくれた崎山先生(11月29日に病気のため逝去)のためにも、もっと頑張らなくちゃ。

小牧 高倉の師匠やもんね。俺も崎山先生にはずいぶんお世話になった。

高倉 亡くなる前にお見舞いに行ったんですけど、しんどそうなのに「最近どうや?」って僕のことを心配してくれて。でも、先生を安心させるような返事ができなかったんですよね。だから、改めてもっと成績を出さなくちゃと思ったんです。そのほうが先生も喜んでくれるはずだから。

川須 数字も含めて、結果がすべての世界だからね。僕も今年は悔しい1年だった。こんなに悔しいと思ったのは、ジョッキーになってから初めてかもしれない。

小牧 それはなんで?

川須 やっぱり数字的なことが一番ですね。満足する年なんてなかなかないんですけど、とくに今年は流れが良くなかったなぁって。この悔しさを来年にぶつけたい。

小牧 そういえば、コパノキッキングの初戦と2戦目は川須やろ?

川須 そうです。初戦は全然人気がなかったんですけど(10番人気)、8馬身も差をつけて逃げ切ってくれて。その後はタイミングが合わなかった時期もあって手を離れてしまいましたが、見方を変えれば、ああいう馬に出会うチャンスがあるということですからね。モチベーションに変えていきたいなって。

小牧 そうやね。数字でいえば、俺なんて今年8勝やで。今年はケガもあったし、ここ2年は本当に苦しいわ。なんにせよ、この世界で生き残っていくのは大変やね。まぁ俺の場合はいつ辞めてもおかしくない年齢にきているから、楽しむようにはしているけど。

太論

▲悔しさを来年にぶつけたいと話す川須騎手


──小牧さんはいつもそうおっしゃいますが、本当に楽しむことなんてできないですよね。

小牧 できんよ。でも、乗り馬がいないとジョッキーはやっていけへん。まずはそこからや。前はね、「ボチボチ乗っていければいいや」なんて言ってたけど、もうね、そんなこと言ってる場合じゃない。30年以上競馬に乗ってきて、それがようやくわかったわ。

川須 でも小牧さんは、勝っているときも勝てないときも、いい意味で全然変わらないですよね。そう見せているだけかもしれませんが。

高倉 物足りないだろうなぁと思ってずっと見ていましたけど、確かにどんなときも焦らないというか。

小牧 そんなことないよ。もう必死や(笑)。でもね、長く乗ろうと思ったら、意地もプライドも捨てないとやっていけへんなと思って。俺は騎手しかできないからね。そう思ったら、逆に気が楽になった。なんせ今年8勝やろ? 今後、今年以下に落ちることはなかなかないと思うしね。それにしても、年間300勝していたジョッキーが8勝なんてねぇ。JRAにきた最初の頃は60勝とか70勝とかしていたけど、それでも全然物足りんかったのに。でも、最近思うんやけど、今年みたいな年があったことで、ジョッキー生命は延びたかもしれん。ずっと40勝、50勝くらいできていたら、逆に気持ちが持たんかったかもしれないね。
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

すでにお気に入りに登録しています。

登録済

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング