ファンも地元関係者にとっても、待望の関西初騎乗だった。
JRA所属の
藤田菜七子騎手が、地方・
園田競馬場で
JRA交流レースを含む4鞍に騎乗。待ちわびた関西のファンの中には、前日に入り待ちをする人が現れるなど盛り上がりを見せた。
関西初戦となったのは、園田4R。多くのファンがパドックに詰めかけ、同レースに騎乗する地元騎手は「重賞以上の盛り上がり。でも、歓声はいつもとなんだか違う」と話した。その注目の1鞍目は果敢にハナを奪うも8着。
続く2鞍目の7Rは、近4走で全て掲示板を確保している
クリノエベレストに騎乗。中団やや後方からレースを進め、3コーナー手前から進出を開始。そのまま先頭集団に並びかけると、場内からは大きな歓声が上がった。
しかし、先に抜け出していた
パワーローランを僅かにクビ差捉えられず2着だった。アク
シデントが起きたのはその直後。
1コーナーの入り口で落馬し、砂上で藤田騎手はうずくまった。競馬場内の救護室に運ばれ、「左下腿打撲 本日は安静を要す」と診断が下され、その後の
JRA交流レースを含む2レースは乗り替わりとなった。
藤田騎手が2着だった7レースを勝利した
下原理騎手(本来は
木村健騎手だったが、4R後に腰痛のため乗り替わり)は
「先頭を走っていたらものすごい歓声で、ゴール直後に振り返ると藤田騎手だったので、『申し訳ないな…』と思いながらの勝利でした。大事に至らないといいですね。次のレースで彼女が騎乗予定だった
スーパーレインボーは僕が乗っていた馬なので、乗りやすい馬だよって話しかけると、『ハイ!』と元気一杯の返事で、礼儀正しい子だなって印象を受けていました」
また同レースに騎乗していた
大柿一真騎手は「入線後、外に行かせるところ、馬が出口(検量室などに繋がる出入口)を見つけて、さらに外へ行っていました。それに対応しきれなかったのかもしれないですね」と、落馬の様子を語った。
以降2レースの乗り替わりが発表されると、帰路に着くファンもいた。
日頃から
園田競馬場に通うファンは「写真を撮るためにラチ沿いにいましたが、次のレースでは敷かれていたシートがなくなっていました」と残念そうに話した。それでも普段の2倍近い5000人超のファンが詰めかけ、最終レース後のファンバスには大行列ができ「菜七子効果」の大きさを物語っていた。
兵庫県競馬組合広報課を通じ、藤田騎手は「関西のみなさんに申し訳ないのと、全4鞍に乗れず残念です」とコメントを発表した。いつかまた
園田競馬場に来て、ファンを熱狂させてほしい。
(取材・文・写真:大恵陽子)