「プロキオンS・G3」(9日、中京)
立ちはだかる馬群。その隙間からのぞくゴールを目掛けて、迷わず
アクセルを踏み込んだ。
キングズガードがラスト1Fから急加速。ラ
イバルたちを瞬時に抜き去り、
フィニッシュラインを貫いた。
「強かったですね。外を回すと届かないと思っていたから内に潜り込みました。脚も十分にたまっていたので、この馬らしい伸びでしたね」。1番人気の
カフジテイクを前に見ながらの13番手。末脚に全てを託す作戦を選択した藤岡佑は「開業した時から乗せていただいていたので、ようやく結果を出せて良かったです」と感謝の言葉で締めくくった。
田中章博師(昨年7月に病気のため死去)の馬房を受け継ぐ形で、昨年9月に開業した寺島師は初の重賞タイトル獲得。36歳の若き指揮官は「田中先生にこれだけいい馬を任せていただいていたので…。本当に良かったです」と言葉を詰まらせる。ハミを替え、調教方法も工夫するなど試行錯誤を繰り返し、苦手だった左回りも克服することができた。
今後については「様子を見ながら」とトレーナー。ダート界の頂点への道筋は見えた。距離の壁を越え、同じ桶狭間で行われる暮れのチャンピオンズCに、さらに成長した姿で戻ってくる。
提供:デイリースポーツ