昨年の
アイビスサマーダッシュ2着だった
ネロが、ここにきて復調を感じさせる動きをみせている。前走の
シルクロードSでは1番人気に支持されながらも11着の惨敗。57.5キロのトップハンデを背負ってとはいえ、精彩を欠いていた。
その後は放牧に出されたが、脚部の違和感が感じられたため、予定を早めて4月下旬に栗東に帰厩させた。
「何かアク
シデントがあったという訳ではなく、大事をとって栗東での調整となりました。レースでの疲れも影響したのかもしれません」(渡辺助手)
それ故、あえて基礎づくりに重きを置いてじっくりと調整された。当初は中京の
CBC賞も視野に入れていたが、万全を期すために
アイビスサマーダッシュに目標を切り替えた。
「追い切りで速い時計を出そうと思えばいつでも出せる馬なんです。でも、基礎的な部分が出来ていなければ、反動が出てしまう。今回は反動が出ないようにじっくり時間をかけて乗り込みました」(渡辺助手)
ネロといえば、坂路の一番時計の常連だ。実際、6月初旬には52秒4で一番時計を出している。しかし、陣営からすればこれでもまだ「
ネロ本来の動きではない」と
ジャッジされていた。
「当時は、躍動感や精彩さがいい頃から比べると“まだ上がある”という印象でしたね」
ようやく
ネロらしさが戻ってきたのは7月中旬。50秒を切る49秒0の時計を出し始めた頃だった。
「このあたりから、ひと追いごとに復調が感じられるようになりました」
さらに、木曜の最終追い切りでは馬なりで50秒3をマークしている。
「単に時計を出そうと思えば、もっと出せる馬です。現時点でも、時計には表れない躍動感や手ごたえも戻ってきているので、久々ではありますが期待できる状態だと思います」
昨年、
ネロはこのレースで
ベルカントにアタマ差の2着。先頭を走っていたところから勝ち馬に交わされた後も果敢に食い下がる激戦を繰り広げた。今年も熱いレースを期待したい。
(取材・写真:花岡貴子)