馬の成長曲線というものは様々だ。
ディープインパクトのようにデビュー戦から圧倒的なポテンシャルを見せ続ける馬もいれば、6歳秋にして
ジャパンC、7歳夏に
宝塚記念と超ベテランになってからGI2勝を挙げた
タップダンスシチーのような遅咲き馬もいる。
2002年
スプリンターズS、翌03年
高松宮記念を制した名牝
ビリーヴも、年齢を重ねてから覚醒した馬だった。
「もともと高い能力は持っていたんだけど、3歳くらいまでは、それがなかなか結果に結びつかないことが多かった」とは松元調教師。
覚醒したのは4歳春だ。当時まだ園田所属だった岩田を鞍上に準オープンの
淀屋橋Sを6馬身差ぶっちぎりV。降級した夏に準オープン(
佐世保S→
北九州短距離S)を連勝すると、秋初戦の
セントウルSで4馬身差のレコードVという圧倒的な脚力を見せ、次の
スプリンターズS制覇につなげた。
「岩田が乗ってから変わったというのもあるんだろうけど、馬自身があのあたりで目覚めたんだろうね。だいたいが、おくての血統なんだわ」
そんな
ビリーヴの成長曲線は、その子供にもしっかり受け継がれている。
「
ファリダットも4歳以降に力をつけていったし、
フィドゥーシアも同じ。古馬になって能力を発揮するタイプなんだろうね」
5歳春にして、ようやくオープンを勝った
フィドゥーシアは母以上の晩成型とも言えようか。
「
ビリーヴはサンデー(サイレンス)産駒らしいスラッとした体形だったが、
フィドゥーシアはガッチリしていて、より短距離馬っぽい。タイプは違うけど、持っているスピードは同じくらいのものがある。これから、それが目覚めてくるんじゃないかな」
日曜の
セントウルSで
フィドゥーシアが母子同一重賞制覇を成し遂げるようなら…。母がたどった道をなぞる栄光への軌跡が、はっきり視界に入ってくる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ