重賞出走経験がないとはいえ、3戦全勝でGIの舞台に臨む
リカビトス(牝3・美浦・
奥村武)。坂路での最終追い切り後、管理する奥村調教師が共同記者会見に臨んだ。
(まず
リカビトスについて)
「若い頃からなかなかバネが良くて非凡な才能を持っていると思っていましたが、体質が弱いところがあって、調教にしても競馬にしても1回1回ダメージがかなり大きく、回復にも時間がかかるので、なかなか競馬を使い込めない馬ですね」
(GIを意識するようになったのは?)
「新馬の勝ち方もかなり良かったのですが、それを強く感じたのは2戦目の平場の500万を勝った時です。500万にしては相当メンバーが揃っていましたし、その時も久々だったので、ジョッキーとは次につながるように終いから脚を伸ばしてどこまで来れるかと話をしていたのですけど、まとめて全部差し切ってくれたので、ちょっとこの馬は…と思いました」
(素質はあるが、成長途上でもある?)
「体はデビュー時からほとんど変わっていません。だいぶ体質は強くなってきているのですが、まだ本気で鍛え上げるというところまではいけていないので、来年、再来年はもっと良くなるのではないかと期待しています」
(前走後のケアは?)
「レース後のダメージは結構あったので、ノーザンファーム天栄さんの方でケアしてもらって、ここまでじっくり時間をとりました。何か加療していくというよりは、時間をかけてきちっと疲れを取るということをまず優先して立ち上げてきました」
(帰厩後は?)
「やはり調教後のダメージはだいぶ楽になってきているので、大人になってきていると感じます」
(今朝の追い切りについて)
「前に行っていた馬のテンが速かったので、前半オーバーペースではあったのですけど、終いまでしっかりした脚取りで走って来れたので、良い内容だったと思います」
(関西への輸送については?)
「やってみないとわからない部分はありますが、デビュー戦で新潟に行った時も体が減ってしまうのではないかとだいぶ心配したわりには、こちらにいる時よりむしろ増えているぐらいでした。精神的な部分ではドシッとしたところがある馬なので、あまり心配はしていません。(馬体重は)あまり大幅に減るようならプラスではないと思うのですけど、410キロ台後半くらいであれば、特に大きな問題ではないと思います」
(スタートも含めてどのようにレースを進めていきたい?)
「スタートはあまり速くはないので、恐らく後ろからの競馬になると思うのですけど、前半急かさずにそれなりに流れてくれるようなメンバー構成ではあるので、一発狙って乗ってもらうように話はします」
(テン乗りになる浜中ジョッキーとは打ち合わせを?)
「京都の2000mのこの
秋華賞で、後ろから行って差し切るような内容で勝っているジョッキーですから、よくわかっていると思います」
(週末雨予報が出ているが、馬場については?)
「軽いタッチで走る馬なので、(道悪は)プラスではないと思います」
(師としてもGIの舞台に胸躍るところがあると思うが?)
「やっぱりワクワクします。条件戦ですけど、負けたことのない馬ですからね。元々、春2勝目を挙げた時に、
オークスなどいろいろ選択肢があったのですけど、まだ体質の弱さがあって、春のクラシックに間に合わせるには馬が可哀想なところがあったので、早い段階から秋のこのレースを目標にどう戦っていくかを牧場と厩舎とで頭使ってずっと考えてやってきました。
秋華賞の前に
紫苑Sを使うのが常識的だと思うのですけど、何度も言っているようにレースのダメージが大きい馬なので、
トライアルから
秋華賞というのは考えにくかったですし、早い段階で3勝目を挙げておいてここまで時間を取るというプランで来ていました。その通りに来ているので、やはり期待はしますね」
(この馬の末脚同様に、その逆算が今回ピッタリ合うかどうか?)
「そんなに甘くはないと思いますけど、強い相手に胸を借りてどこまで足りるのかを見てみたいと思います」
(取材・写真:佐々木祥恵)