菊花賞に出走する池江厩舎の3頭を取材していると、兼武助手が突然、逆質問をしてきた。
「重賞未勝利馬が
菊花賞を勝ったことはあるんですかね?」
あるどころか、むしろ多いくらいだ。過去10年でも初重賞Vが
菊花賞になった馬が実に4頭もいる。ちなみに同じく過去10年で見ると、
皐月賞が初重賞Vとなったのは2頭、ダービーに至っては0頭。1996年の
フサイチコンコルドを最後に出ていない。
時期的にいえば、
菊花賞より半年も早い
皐月賞の方が、初重賞Vでの戴冠となる馬は多く出ていいはずなのだが、結果はその逆。このあたりにも
菊花賞の“独自性”が出ている。
「
菊花賞は特殊だからね。去年の
サトノダイヤモンドみたいに能力の高さだけで勝つ馬もいるんだろうけど、ポテンシャル以外の何かが必要になってくるんじゃないかな」とは2014年の覇者
トーホウジャッカルを管理していた谷調教師だ。
「初重賞Vが多い」=「過去の実績が通用しない」が成り立つ。重賞実績を気にしない方がむしろ得策なのかも…。
重賞未勝利馬が多い今年のメンバーの中でも、坂路野郎が最も気になっているのは、やはり
サトノクロニクル。前走の
セントライト記念(3着)で騎乗した
ミルコ・デムーロ(
菊花賞は
キセキに騎乗)いわく「この馬にもすっごく乗りたかった。ひっかからないし、3000メートルは合っていると思う。前走でも窮屈になるところがなければ、もっと差は詰まっていたはずだよ。来年はきっといい馬になっていると思うよ」。
“名手のお墨付き”をもらったとあれば、一発候補の期待をかけてみたくなる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ