全休明け(21日)の美浦トレセンで、多数の関係者から祝福を浴びる男がいた。先週東京の新馬戦(
ロードライト)で待望の今季1勝目を挙げた
嶋田純次である。「やっぱり(勝因は)日頃の行いがいいから」と声を掛けた
武藤善則調教師を筆頭に、それぞれが我がことのように喜ぶのも彼の人柄のなせるワザだろう。「(榊原源一郎)オーナーに“ぜひ純次で”と頼み込んだ」とレース前に語った師匠・
手塚貴久調教師にしても格別な勝利だったに違いない。
もっとも当方の印は恥ずかしながら“ヌケ”。外傷で1週スライドした経緯から軽く扱ってしまったが、何より痛恨なのは「たまには普通の馬を乗せてあげたくて」という指揮官の心情を理解しなかったこと。「普通の馬」とは“普通にチャンスがある馬”。そう気付いたのが直線ではさすがに遅すぎたようである。
ちなみに当人に次走も乗れるか聞くと「まだ分かりません」。デビューから3年目まで18→18→21勝と着実に勝利を重ねたが、減量が取れた14年以降は1→8→2→1勝。苦境が続くだけに、ジュンジにはこの“お手馬”とともに再ブレークしてほしいのだが…。
さて、
ビジネスライクな騎手選択が当然の昨今、今週土曜(25日)東京
キャピタルS(3歳上オープン、芝1600メートル)を予定する
ダノンプラチナも、名手・
蛯名正義にとって大事な“お手馬”。とはいえ、慢性の爪不安を抱え、
京成杯AHも左前挫石で取り消したばかり。5歳馬ながら12戦の浅いキャリアが、軌道に乗れない苦境を物語っている。
「ディープ産駒特有の爪の浅さがネックとなってきた馬。以前は追突防止のプロテクト鉄を履いていたけど、今はエクイパットというゲル状のパテを入れて両前を保護している。はだしのようなものだから調教では若干走りづらそうだけど、いい雰囲気できているし、ウチの
カレンリスベットもこれで順調に使えるようになったから。今度こそ無事に出したいね」
こう語るのは国枝キュウ舎の番頭格・佐藤勝美助手。ハンデ重賞では58キロを課せられる同馬が、オープン特別では56キロで出走可能とあって「重賞級のメンバーが揃ったけど、それでも力は上位。あとは主戦(蛯名)次第かな。ゴールまでしっかりプッシュしてくれたら結果は出るはず」。かつての2歳王者も再ブレークには賞金加算が必須条件。その足掛かりをつかめるかに注目だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ