有馬記念から一夜明けた25日、優勝した
キタサンブラックは午前2時ごろ栗東の自厩舎に戻った。
「普段と変わらない様子でしたね。帰ってからカイバをつけたらすぐに食べていました」と担当の辻田厩務員。
辻田厩務員は、レースはゲートに付き添ったため、移動のバスの中で見ていた。
「小さいモニターしかなかったので、ラジオを聞いていました。2番手争いのことをよく話していましたが、その数馬身前にブラックがいるなら踏ん張ってくれているのかな、と思いながら聞いていました」
ラストランを走り終えた感想については、「心にくるものがありました。ホッとしている気持ちが強いです」と安堵の表情。
引退式は、
キタサンブラックにとっては初めての体験だった。
「新曲が流れている頃は地下馬道で歩きながら待機していたんですが、もうすぐ馬場に出る場所だということはわかっているのでちょっと緊張していましたね。“もう一度走るのかな?”と思っていたようで気合も入っていましたね」
これまでの3年間を振り返ると、さすがにしんみり。
「どのレースも全部思い出深いです。素晴らしい馬です」
キタサンブラックの産駒にはどのような期待をするか?という問いには、満面の笑みを見せた。
「優等生でパワーがあって優しくて。お父さんのように驚かせてくれるような馬がいいですね。最初のGI勝ちである
菊花賞では、前走の
セントライト記念で気持ちが入ってくれなかったのが、その後の調教でガラッと変わりました。3000mの距離には適性を疑問視されたりしていましたけど、覆して驚かせてくれましたね。その後も驚きの連続でしたから。いつか、その日がくるのが楽しみですね」
(取材・写真:花岡貴子)