昨年の
日本テレビ盃もそうだったが、船橋のダート
グレードには中央からGI/JpnI級の馬が複数出走することが多く、それゆえに地方の有力馬はほとんど回避。今回、中央勢は
ルールソヴァールが選定馬確定後に回避して3頭となったが、その3頭が単勝ひと桁台。地方馬では唯一馬券にからむかもしれないという
ウマノジョーが28.8倍で、あとは単勝万馬券。ダート
グレードではたまに見られる極端なオッズで、馬券的には狙いを絞るのが難しかった。結果的には5着まで人気順の決着だったのだが。
現地で見ていたのだが、レースが始まると場内は騒然。応援なのか、ヤジなのか、異様な雰囲気だった。競馬でもヤジが当り前だった平成ひと桁のあたりまではよく見られた光景だが、そういう雰囲気のレースは久しぶりだった。
なぜそうなったかといえば、長距離の少頭数とはいえ、早くも1周目のスタンド前で、縦長というにもほどがあるだろうというバラバラの展開。映像のカメラの方も、どこまで馬を入れればいいのか苦労したことだろう。全体を捉えようとすれば1頭1頭の馬が画面の中では米粒ほどの大きさになってしまう。
GI/JpnI馬2頭が人気を分け合う中で、僅差の1番人気となった
ケイティブレイブは、目野哲也調教師引退にともなう転厩初戦であることや、前走で
フェブラリーSを使った影響がどうかなど、不安がないではなかった。しかし地方の長距離という得意の条件で、能力の高さを発揮した。
今回も逃げに持ち込んだ
ケイティブレイブだが、前半は
マイネルバサラに突かれ、道中はほとんど緩むところがないペース。2周目の3コーナー手前からは
アポロケンタッキーが並びかけてきて、それでもハナを譲ることなく、直線では振り切って見せた。
かつては地方小回りコースの長距離戦で、緩い流れのマイペースに持ち込めればという
ケイティブレイブだったが、
フェブラリーSでの厳しいペースも経験になったのだろう、さらにパワーアップした印象を受けた。今後、ひとまずの目標は
帝王賞となるようで、大井の2000mでも
川崎記念や今回のような横綱相撲ができれば、いよいよ本格化といえそうだ。
予想で本命にした
アポロケンタッキーだったが、スタートして200mほど行ったところで、今日はダメかもという感じはあった。スタート直後に押して行くのはいつものことだが、好調時ならすぐに先行勢の直後に取り付くところ、今回は押しても押しても、好ダッシュを見せた前2頭との差が縮まらなかった。直線での追い比べに持ち込むにはどこかで差を詰めておかねばならず、しかし
マイネルバサラが突いていったこともあり、レースの中間で、13秒5、13秒3というラップがあっただけでペースはほとんど緩むところがなかった。3コーナーでようやく
ケイティブレイブに並びかけたが、
ケイティブレイブにしてみればそこまで平均ペースで流れたぶん余力は十分に残していて、
アポロケンタッキーは直線で突き放されるという結果となった。
余談にはなるが、2100mの川崎コースでは、中央の一線級が参戦してくる
川崎記念などでも1周目のスタンド前では14秒前後のラップに落ちることもめずらしくないが、船橋2400mの
ダイオライト記念では、道中のラップが14秒台に落ちることはほとんどない。まれに14秒台に落ちることがあっても、それが2F、3Fと続くことはまずない。コーナーがきつい小回りの川崎に対して、船橋コースは3〜4コーナーがゆったりとした
スパイラルカーブになっているというコース形態の違いゆえなのだろう。
2400mの長丁場とはいえ、スタートで差をつけられた
アポロケンタッキーにとっては差を詰めていくタイミングが難しく、厳しいレースになった。8着に大敗した昨年の
JBCクラシックのときもレース中盤から押しても追走一杯になっていたように、好不調のブレが大きいタイプなのかもしれない。
マイネルバサラは、
浦和記念では展開や馬場に恵まれた感があり、前走
佐賀記念も3着に負けており、GI/JpnI馬2頭を相手にどうかと思ったが、みずから
ケイティブレイブを負かしに行って、1馬身半+2馬身差の3着は、今後に期待のつながる結果だろう。
末脚勝負の
ウマノジョーは、緩みのないペースで進んで最後までバテない中央のGI/JpnIクラスが相手では、さすがにまだ荷が重かったという、3着
マイネルバサラからの大差だった。