なんとも解説しがいのないレースというか、ほとんどまぎれもなく、人気どおりでもあり、実力どおりの決着となった。
中央馬と地方馬で実力差のあるメンバーのダート
グレードでは、前に中央馬が一団となり、離れて地方馬がバラバラになってという展開もめずらしくないが、そうはならず、地方勢の中では上位人気の2頭が中央勢にからんでいった。1コーナーをまわるあたりでは
菊水賞を勝っていた
アゼツライトが、2コーナーから向正面に入るあたりでは
クリノヒビキが徐々に離されてしまったが、前半だけでも抵抗したことには好感が持てる。
結果、地方最先着6着の
クリノヒビキは、5着の
メイショウヒサカタから7馬身差、7着の
アゼツライトはさらに2秒という大差がついた。そもそも兵庫のこの世代は重賞ごとに勝ち馬が変わる主役不在の混戦。兵庫
若駒賞はそれまで未勝利の
トゥリパが勝ち、
園田ジュニアカップこそ1番人気の
コーナスフロリダが勝ったが、
菊水賞は勝ち馬から8馬身以上離されての4着だった。どんぐりの背比べというより、ストレートに言うと世代レベルは高くない。
ある程度予想されたように中央勢の上位独占となり、勝ったのは単勝1.4倍と断然の支持を受けた
テーオーエナジー。抜群のスタートを切って先頭に立ったものの、すぐに
ビッグスモーキーにハナを譲った。岩田騎手によると「100mくらい行ったところでトモを落とした」とのこと。それでも岩田騎手は余裕をもっての追走だった。ペースアップした3コーナー手前では手綱を動かしても前2頭との差が詰まらなかったので、どうかと思って見ていたが、4コーナーから直線での抜け出し方を見ると、先頭に立つタイミングを計っていただけのようだった。園田の短い直線だけで、しかも最後は流すような感じで、2着の
ビッグスモーキーに5馬身差は圧巻だった。
2着の
ビッグスモーキーは、マイペースで逃げての結果だけに能力は出し切った。3着の
キャベンディッシュはスタートがイマイチだったが、1周目の3コーナーあたりから掛かっていって直線を向いて2番手。スタンド前でも折り合いに苦労していた。仮にスムーズに運べても、
ビッグスモーキーとの2着争いまでだっただろう。
このレースは2012年以降、今年まで7回のうち6回で中央勢が掲示板を独占。残る1回も地方馬の最先着は4着だった。上位は中央勢同士の争いでも、なぜか着差が大きく開くことが多いのがこのレースの特徴。昨年は1着
タガノディグオ、2着
ノーブルサターンは3/4馬身だが、そのうしろは3馬身、9馬身という差がついた。2016年は
ケイティブレイブが
ゴールドドリームに7馬身差、15年は
クロスクリーガーが
リアファルに9馬身差、14年に
エキマエが勝ったときには4着馬までそれほど差がなかったが、13年は
コパノリッキーが
ベストウォーリアに6馬身差をつけ、そのうしろ3着には9馬身差。そうした着差がついた結果の中から、必ずしも勝ち馬だけでなく、
ケイティブレイブ、
ゴールドドリーム、
コパノリッキー、
ベストウォーリアという、ダートのチャンピオン級、もしくはGI/JpnIを複数勝つ馬たちが出てきている。
その傾向から今後、
テーオーエナジーのみならず、2着の
ビッグスモーキーにも可能性はあると思われる。
全日本2歳優駿と
伏竜Sで1、2着を分け合った
ドンフォルティスに
ルヴァンスレーヴ、
ヒヤシンスSを制した
スマハマらを相手に、これからの成長力で上回れるかどうかという争いになりそうだ。