昨年のこのレースの覇者、
サトノクラウン(牡6・美浦・
堀宣行)が
宝塚記念2連覇を狙う。追い切り後、
石橋脩騎手と管理する堀調教師の共同記者会見が行われた。
■石橋騎手
(
宝塚記念で
サトノクラウンの騎乗が決まった時の心境は?)
「嬉しかったです。頑張りたいです」
(これまでの
サトノクラウンの走りはどのように見ていた?)
「2歳の頃からずっと見させてもらっていますし、本当に良い馬になったと思っていました」
(その過程で乗ってみたいという気持ちも?)
「そうですね、乗せていただければ、はい」
(先週3頭併せの真ん中で追い切ったが、その感想は?)
「乗り心地の良い馬ですし、自分なりに気になるところもあったので、いろいろと確認できました。競馬の中で良い時と悪い時が成績に出ていますので、
サトノクラウンのメンタル的なものがどのような感じなのかを感じ取れるように乗っています。今週は輸送がありますので、先週はしっかりと指示のもと追い切りました。時計は全体的に速かったのですけど、動き切れないところもあったと思いました」
(今朝の追い切りについては?)
「先週しっかりやって、どのくらい動きが変わってきているのかを確かめてみたいというのと、最後少し出て気を抜くとまではいかないですけど、そのようなところのある馬なので、そういう部分を見てほしいと言われていてそれを確認しました。先週より動きは良かったです。昨日も普通の調教に乗っているのですけど、先週は緩さがあったのですが、追い切ったことで体が締まったなと思いました」
(先ほど気になるところがあると言っていたが、この感触なら導けそうだという手応えを感じた?)
「
宝塚記念に乗せてもらうわけですから良い結果を出せるように、そういう感覚をしっかり掴んでいかなければなというのはあります」
(道悪で成績が良いが?)
「道悪で結果が出ていますし、他の馬がマイナスになる部分でも、この馬はそんなにマイナスにはならないとは思うので、道悪になってもいいのではないかと思います」
(レースプランや枠順の希望は?)
「当日の馬場もそうですし、気配、枠などまだわからないところがあるので、これからですね。枠も正直馬場によりけりですし、頭数は違いますけど昨年も大外で勝っていますので、特に気にしていないです」
(クラシックでも上位を賑わせた石橋騎手だが、上半期最後のGIに臨む気持ちは?)
「馬も違いますし、
サトノクラウンのレースができればなと思っています」
(ディフェンディングチャンピオンの
サトノクラウンで臨む心境は?)
「本当にありがたいことですし、チャンスを生かしたいですね。頑張ります」
■堀調教師
(3頭併せの真ん中で追われた1週前について)
「まず今回ドバイ遠征後の参戦で、疲れがないかどうかの確認を慎重にやってきました。正直馬の状態は一進一退という形で確実に良化しているという手応えはなかったのですけど、その中でこれなら競馬に向けていけるかなと思えたのが特別登録の前くらいでした。いつもは心肺機能の良い馬なのですが、この馬としてはしっかりめに1週前追い切りをやらなければならないという状況でしたので、しっかり3頭併せで負荷をかけました」
(1週前追い切りを終えた時点で、通常の1週前と比べてどうだったか?)
「通常と言っても調子には波がありますからね。そういった中で、先週はしっかりやりたかったのですけど、誘導の馬が引っ掛かりましてそれにも増してかなり強い負荷をかける状況になりました。追い切りの後は当然疲れが出て、通常なら先週末行う軽めの調整程度の追い切りを省いています。
ただ週末を省いて今週になってからグンと上向いている様子が窺えました。あとは先週終えた段階での心拍数などの数値的なものでいえば、去年の宝塚の前よりは1枚落ちるけれども、去年の秋の天皇賞(GI・2着)と同等くらいの状態にはなっているかなという印象でした」
(その心拍数は、どのような状況の数値か?)
「いろいろな項目があります。実際には5、6個の
ファクターについて数値化していて、その全体の印象ということです。安静時ということではなくて、追い切り時の心拍です。あとは追い切りの10分後や厩舎に帰着時の心拍数などいくつか基準を設けていますので、そのデータの総和ということになります」
(週が明けた時点でだいぶメドが立ってきた?)
「そうですね、馬がこたえてくれたというのは非常に大きかったです」
(今朝も石橋騎手騎乗で3頭併せで追い切っていたが?)
「先週強くやって少し回復に時間がかかって週末も(追い切りを)抜いていますので、そういった意味では今週もある程度しっかりやりたい、ただし競馬まで疲れを残したくないという状況でした。たまたま同じような状況の牝馬と併せまして、調教の強度としては狙い通りしっかりこなせたと思っています。普段は直前にしっかり仕上がっていれば単走での追い切りが多い馬なのですが、今回はしっかり3頭で併せました。終いまでハミを取って走れていて、その辺は非常に良かったと思っています」
(先週、今週と3頭併せの真ん中で追い切った狙いは?)
「年を重ねてきて同じ場所で調教をしているので、馬の方が慣れてきているんですね。その辺を3頭併せの真ん中に入れることで、新鮮な気持ちで競馬に対して準備をさせたいというところでしょうかね」
(気持ちの面でも良い方に?)
「なかなか当日の気配が難しい馬なのですが、年を重ねて普段の調教などではだいぶ取り扱いが易しくなってきていますし、大きくではないですが少しずつそういった面は良い方向に向いて来ているなとは思っています」
(ここまではかなり良い感じに仕上がってきた?)
「そうですね、整ってきたなと。ドバイの後の宝塚という非常に難しい条件だとは思いますけど、その中で馬がこたえてきてくれたのが1番だとは思うのですが、整ってきつつあるなと感じています」
(2週、追い切りに乗っている石橋騎手とは何か話を?)
「日頃厩舎の調教を手伝ってくれているのですけど、この馬に関してはほぼ乗ったことがなかったので、2週間ほど前から普段の調教も追い切りも可能な限り乗ってもらっています。
その中でしっかり馬の癖など細かいところを掴んでほしいと思っているのですけど、どの馬でも調教と競馬は印象が違うものだと思いますし、この馬は特にそういったところが大きいです。その辺の精神面はなかなかニュアンスが伝わらないことも多いですし、そういった意味では今日3頭併せで追い切ったのは少しは足しになったのかなと思っています」
(改めて前走のドバイ遠征、
ドバイシーマクラシック・G1・7着を振り返って)
「残念な結果でした。敗因としてはやはりモレイラさんが言っていることがすべてだと思います。ただよりそういう状況になってしまったというのは、暑い気候での競馬というのを優先順位を上に置いて少し調教を軽めにフレッシュな状態に持っていこうと、やる気を持って競馬に臨もうという考え方でやったものですから、隣の馬が立ち上がった影響を受けたということと、競馬では向こう正面から外にいた馬が馬群の中に入りたくて何度かぶつかっているのですけど、その辺がことさらに悪い方に向いてしまったというところが残念でした」
(ドバイにいる時の
サトノクラウンの状態としては?)
「そういった
コンセプトでやったのでテンションが高い部分はあったのですが、許容範囲でしたし、逆に暑い中で良い傾向だなと思っていて状態としては良かったと思っています」
(改めて昨年の
宝塚記念を振り返って)
「追い切りを終わった段階ではなかなか当日の気配が読みづらい馬なのですが、ゲートインするまで良い状態で持っていけたのが1番の勝因だと思います。あともう1つはミルコさんが非常にうまく乗ってくれたというのが勝因でしょう」
(去年のこのレースの追い切り後と今年を比較して?)
「この馬は非常に能力の高い馬で、目に見えない心臓や肺だとかそういった部分に関しては、そんなに絶好調というふうに仕上げなくても整ってきます。
なので勝敗を常に左右しているのは、例えば輸送や滞在してどうとか、当日の馬の精神面などそういった部分を常にうまく持っていくのが難しいところがありますので、去年勝ってはいますけど、その舞台が向いているからというよりは、その辺がうまく整ったのが大きいと思います。現段階でというよりはこの後もその辺をしっかり見抜いて、適格な対応を取って競馬まで持っていきたいと思っています」
(当日ゲートインの15時40分、そのタイミングまでも細心の注意を払って?)
「そうですね。特にドバイではその辺がうまくいかずに惨敗していますので、去年勝った舞台だからといってそれが良いというふうには思っていません」
(道悪で結果を出しているが、阪神の馬場の適性は?)
「馬場状態は多分去年と今年、先週と今週は違うと思いますので、その辺はうまく見抜いて競馬の作戦に生かしたいと思います。特に道悪が上手というよりは、他の馬より道悪を苦にしないという表現の方が当たっているかと思います。コースレイアウトは変わらないので、その辺は十分対応できるというのは証明しています。
あと当日の馬場状態が勝敗を分けると思いますので、梅雨時で予報もコロコロ変わりますし、良馬場で走れない馬でもないので、しっかりそこら辺に対応した作戦を考えてみたいと思います。ただ先週だいぶ時計が速かったので、その辺はちょっと気にはなっています」
(取材・文:佐々木祥恵)