「(マスコミは)“さあ3連覇”って持ち上げてくれますが、重賞でなくオープン特別ってのが正直、微妙ですよねぇ。突き詰めれば、最初に勝った2年前からステージが上がってないってことの裏返しですからね」
今週の土曜札幌メイン・
札幌日経オープンに担当馬
モンドインテロを送り出す藤井省二助手が、札幌に到着するなり複雑な表情を見せた。それもそうだろう。陣営はここを使って中1週でGII
札幌記念に駒を進めるプランだが、今年は例年になく実績馬が揃い現時点で賞金ラインは厳しそうな状況。つまり同馬にとって「3連覇」は目的でなく、あくまで
札幌記念出走への手段にすぎない。そう、達成して初めて2年間の“止まった時”が動きだすのだ。
さて、昨年の
札幌日経オープン以来、勝ち鞍のない6歳馬
モンドインテロだが、年齢的な衰えはさほど見られない。1週前に現地入りした同馬の様子を藤井クンは次のように伝える。
「美浦では暑さにグダっとする兆候がありましたが、涼しい札幌に来て馬は元気いっぱい。予想以上にメンバーが手薄ということもありますが、僕もこっちに来ると“勝てるんじゃないか”って気がしてくるから不思議です」
切れ味よりパワーが勝るのが同馬の特性。過去2年の勝因を突き詰めれば切れ不足を補う馬場、すなわち洋芝への高い適性がその源であるのは間違いないのだが…。
馬場と並列する“もうひとつの勝因”が水ではないかと当方は考える。というのも、同キュウ舎に所属する森信次郎キュウ務員が今春こんな言葉を漏らしたことがあるからだ。
「栗東滞在中はすごく張りがあった
マウレアの体が、美浦に帰るや食いが細くなり急に寂しくなってしまった。おそらく栗東との水の違いなんだろうな。サラブレッドにとって飲料水は体調を整える根幹だから」
実は昨年の当レース出走時の
モンドインテロの馬体重は過去最大タイの492キロ。前走・
目黒記念から実に18キロ増の馬体で連覇を達成している。滞在という理由もあろうが「決して太く見えなかった」と藤井クンが振り返るのだから、すべては良質な札幌の水がもたらす効能と考えていいかもしれない。
「自分としても涼しいこちらにもう少しいたい(笑い)」と語る担当者が願う結果となるか否か。今年も同馬の札幌の芝と水との相性に注目だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ