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田辺裕信 派手な見た目に隠された燃え盛る勝利への執念/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年09月21日(金) 18時00分
 記者とZOZOTOWN前澤友作社長は早稲田実業の同級生(1993年度卒)。彼は高校1年から茶髪で、成績は常に下位クラス。野外活動同好会に所属し、勉学よりバンド活動に精を出す異端児だった。いまや億万長者となり、月にまで行くとか。名実ともに記者とは“月とスッポン”の差がついてしまった。

 ところで我が母校には「去華就実」という基本精神がある。簡単に言えば「外見の華やかさより中身を磨け」という意味だ。前澤は卒業アルバムでも茶髪にピアスと外見で目立っていたが…。

 セントライト記念ジェネラーレウーノで制した田辺裕信ジョッキーもデビュー直後から茶髪にするなど、「見た目が大事」「目立ってナンボ」という揺るぎないポリシーを持っている。

「髪を染めた反響は大きかったですね。“何だ、アイツは”って言う調教師もいましたから。でもレールに敷かれた通りにやっていたら、ただの使いやすいイイ子で終わる。競馬に行ったら大先輩に立ち向かわないといけないんだから。ちょっと反発するくらいじゃないと。今の若い子はおとなしい。もっととんがってもいいと思いますけどね」

 以前、競馬学校に講師として呼ばれた際は「技術なんて二の次。悪いことをしてでも目立って、とにかく調教師に名前を覚えてもらえ」と訓示を述べ、その後は「もう呼ばれなくなりました」と苦笑する。

 そんなわけで見た目を重視する田辺は、馬具への執着も人一倍で「僕が一番お金をかけている」と豪語する。先日、中山競馬場のロッカーを見せてもらうと、鞍をはじめとした馬具がビッシリ。

「髪もそうですけど、やっぱり見せる商売だからね。ノリ(横山典弘)さんも“汚い格好して馬に乗るんじゃない”って言いますが、ホント同感。泥が付いたまま次のレースに乗るなんて許せない。雨じゃなくてもほぼ毎回、着替えるし、ブーツも替えます。馬主さんだって高いお金を出して、夢を持って預けた馬に、汚れたジョッキーが乗っていたら嫌でしょう。そういう意味でも見栄えは大事ですよね」

 例えば田辺のブーツは裏底が赤。女性が憧れるクリスチャン・ルブタンの靴のようなオシャレなデザインだ。調教用の靴にもこだわりがあり、シルバーの靴には競馬用ブーツの飾り部分の化粧革を使用している。

「生地が弱いけど、馬具屋に無理を言って作ってもらいました。だって調教でも目立った方が馬が走りそうでしょ」今では田辺のブーツをマネする人が続出中とか。

 現在JRA69勝で関東リーディング2位。キャリアハイの88勝を更新するペースだが、「僕はどうしても騎手になりたくてなったわけじゃない。だから“ダービーを勝ちたい!”とか、“リーディングを取りたい!”って気持ちは他の人より薄い」とサラリ。

 ただ、記者は知っている。このドライな言葉とは裏腹に、実は燃え盛る勝利への執念があることを。それを悟られぬように戦うのが彼の美学だ。まるで“見た目”というコーティングを施すことで、本心を隠しているかのように…。

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

東京スポーツ

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