今年の
JBCクラシック登録馬のなかで最高齢は8歳馬。昨年の優勝馬
サウンドトゥルーと、1年ぶり5度目の出走となる
クリソライトで、どちらかが勝てば
JBCクラシック最高齢タイとなる。現在の記録は2006年に達成された。今回の「JBC王者列伝」は、
タイムパラドックスをお届けする。
■GIで抜群の安定感を見せ、8歳で連覇を果たす
タイムパラドックスの初重賞制覇はデビューから21戦目の
平安S、6歳でのものだった。その後、
アンタレスS、
ブリーダーズゴールドC、
白山大賞典と重賞を3勝し、3番人気で
JBCクラシックへ挑む。道中は掛かっていたという
タイムパラドックスだったが
武豊騎手になだめられ、直線で3着まで追い込んだ。勝ったのは同厩の
アドマイヤドンで、3連覇を果たした。
ところが次走の
ジャパンカップダートでは、
アドマイヤドンを差し切り2馬身半差でGI初制覇。
アドマイヤドンが3度挑んで獲れなかった
ジャパンカップダートのタイトルを、一度で手にしたのである。
2004年は12戦5勝2着1回3着2回。本格化した
タイムパラドックスは、休むことなく走り続けた。
2005年、7歳の
タイムパラドックスは、
川崎記念と
帝王賞でGIを2勝し、この年の9戦目として名古屋1900mの
JBCクラシックへ向かう。1番人気は重賞3連勝中の
サカラート、
タイムパラドックスは前年に続いて3番人気だった。レースは3コーナー半ばで先頭に立った名古屋の
レイナワルツを残り100mで捕らえ、内から追い込んできた
ユートピアを1馬身抑えた。終始、外を回る競馬だったが、余裕十分の差し切り勝ちだった。
その後、
ジャパンカップダート(4着)、
東京大賞典(3着)は勝てなかったが、2005年は11戦3勝2着3回3着3回。ベテランの安定感を見せつけた。
2006年、8歳になった
タイムパラドックスは現役を続行したが、脚の不安などから3か月ほど間隔があいたり競走除外もあり、最高成績は年明けの
川崎記念3着。そのため3度目の
JBCクラシックは5番人気で迎えることとなる。1番人気の
シーキングザダイヤは、前年の
JBCクラシック6着後、GIを4戦連続2着するなど本格化しており、1.6倍の圧倒的人気を集めていた。川崎2100mで行われたレースはスローペース。早めにポジションを上げた
タイムパラドックスは、3〜4コーナーで先頭に立つ。そして直線に入るとリードを広げ、
シーキングザダイヤらの人気勢を振り切り、1.1/2馬身差でゴールした。8歳にして
JBCクラシック連覇。当時、史上最高齢での平地GI勝利で、管理する松田博資調教師は
アドマイヤドンから
JBCクラシック5連覇を達成した。
タイムパラドックスはその後、
ジャパンカップダートへ向けて調整中に骨折が判明。そのまま引退となった。
生涯成績は50戦16勝、重賞は9勝をマークした。GIは5勝したが、6歳1勝、7歳3勝、8歳1勝。6歳以降のGI出走18回のうち、掲示板を外したのはたったの2回だった。また、4歳10月以降8歳で引退するまで長期休養はほとんどなく、旭川から盛岡、金沢、南関東、名古屋まで、各地の交流重賞に参戦し続けた。
タイムパラドックスは、心技体のそろった馬だった。