史上初の
JRA開催となるJBCデー(11月4日=京都競馬場)。例年の地方開催から、中央に舞台が替わることが、馬券作戦の最重要ポイントになりそうだ。メインの
JBCクラシック(ダート1900メートル)で高い支持を集める古豪
ケイティブレイブと3歳
オメガパフューム。キーホース2頭の全てを知り尽くす、ある男の見解こそが、ス
プリント(ダ1200メートル)&レディスクラシック(ダ1800メートル)にも通じる、まさに今年のJBCデー攻略の最大の肝。「トレセン発秘話」の高岡功記者が渾身リポートをお届けする――。
昨日の友は今日の敵――。現在、安田翔厩舎の攻め専助手として、
オメガパフュームの調教をつけている柳田助手は、2月いっぱいの厩舎解散まで、目野厩舎で攻め専助手として働いていた。で、現杉山厩舎の
ケイティブレイブといえば、その目野厩舎に所属していた馬。そう、柳田助手にとっては、かつての“同志”だ。その
ケイティブレイブが、
オメガパフュームの大きな壁としてそびえ立つラ
イバルとなる。
「やっぱり、あの馬は強いよ。芝路線に比べ、ダート路線ってのはベテランがいつまでも元気。こっちはまだ3歳馬だからね。あくまで今回は強い相手に、どこまで立ち向かえるか。挑戦者の立場だよな」
JBCクラシックでの「新旧同志対決」をこう位置づけた柳田助手だが…。最大の強敵となる
ケイティブレイブの“手の内”を細部まで知り尽くしている男だけに、その低姿勢は逆に不気味にも映る。特に以下の発言こそが、白旗を掲げているわけではない証しとなろうか。
「地方の交流重賞と中央のダート重賞はレースの中身がまるで違う。交流重賞は実質、中央所属の5頭ぐらいの馬たちの戦い。だから道中、馬群がバラけ、各馬がスムーズに運びやすい。当然、力勝負になるよね。それに比べて中央(のダート重賞)は全体的に大きな力差がないから、密集して、馬群の中で競馬をすることが多くなるんだ。要は求められているものが違うんだよね」
南関東の大井で施行された昨年の
JBCクラシックは「中央馬7頭+地方馬6頭」だったのに対して、
JRAの京都開催となる今年は「中央馬15頭+地方馬3頭」。当然、今年は“中央寄り”の競馬。各馬入り乱れての混戦になれば…。地方の交流重賞で実績を積み上げてきた
ケイティブレイブに、つけ入る隙が出てくるかもしれない。
「(
オメガパフュームは)デビュー以来、ずっと外をグルッと回る競馬を続けてきたんだけど。
ジャパンダートダービー(2着)の時に、初めて外から(武)ユタカ(=6着
ドンフォルティス)にかぶされる形になったんだ。普通なら惨敗してもおかしくないパターンなんだけど、手応えが悪くなり、馬群に沈みそうになってから、盛り返す地力を見せたのは大したもの。
シリウスS(1着)にしても道中、馬群の内で上手に競馬ができていた。要はここ2走はそれまでと違うレースになっても、しっかり対応して結果を出しているんだよね。これこそがこの馬の強みだし、今年のJBCで生きてくると思うんだ」(柳田助手)
南部杯で古豪
ゴールドドリーム相手に1馬身半差の快勝を飾った
ルヴァンスレーヴに、
白山大賞典5馬身差圧勝のグリム…。古馬混合戦で互角以上の成績を残している3歳世代のダート馬のレベルの高さは明白。その一角として
JBCクラシックで強力古馬陣に立ち向かう3歳馬
オメガパフュームの走りに注目して損はないはずだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ